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ソプラノ  作者: BAGO
カランド
90/1013

カランド(16)

近くにあったベンチに座って早速ご賞味。

[吹雪]:「ほら、飲んでみろって」

[聖奈美]:「わ、分かってるわ」

[吹雪]:「そこまで警戒する必要ないと思うんだが」

[聖奈美]:「だって、こんなに鮮やかな色は初めてみるんですもの」

杠が頼んだのはパッションフルーツとパイナップルのミックス。涼しそうな黄色のジュースがグラスに注がれている。

[聖奈美]:「毒とか入ってないでしょうね?」

[吹雪]:「入ってたら俺とっくに死んでるだろうが」

[聖奈美]:「免疫付いてるんじゃないの?」

[吹雪]:「毒が入ってたら1回飲んだだけで死ぬだろうが、免疫付く前に」

[聖奈美]:「そ、それもそうね」

[吹雪]:「大丈夫だって、とりあえず飲んでみろって。絶対美味しいから」

[聖奈美]:「わ、分かった」

グラスに向き合って神妙な面持ちをしている。マジックコロシアムでもこんな表情はしてなかったのにな。

[聖奈美]:「――んっ! ちゅう、ちゅう」

ようやく杠はストローに口を付けた。

[吹雪]:「どうだ?」

[聖奈美]:「……美味しい。すごく美味しいわ」

[吹雪]:「だろう?」

曇ってた表情が一気に晴れやかになった。

[聖奈美]:「酸っぱいけど、イヤな酸っぱさじゃない。心地いい酸っぱさだから飲みやすくて、それでいてちゃんと甘みもある」

[吹雪]:「嘘は言ってないって言っただろう?」

[聖奈美]:「そうね、買って正解だったわ」

[ダルク]:「聖奈美、その、私も……」

[聖奈美]:「ええ、ほら、飲んでみなさい」

杠はダルクにグラスを持っていく。

[ダルク]:「わー、すっごく美味しい」

[吹雪]:「お、ダルクも分かってくれるか?」

[ダルク]:「こんな美味しい飲み物、久しぶりに飲んだよー」

[吹雪]:「誘った甲斐もあるってもんだ」

[聖奈美]:「あなた、あのお店は行き着けなの?」

[吹雪]:「毎日ってわけではないけど、一ヶ月に1回くらいは飲んでるかもな。3年前に試しにって思って飲んでみたらハマっちゃってな」

[聖奈美]:「好奇心が福を呼んだわけね」

[吹雪]:「だな。お前にとっても福だろう?」

[聖奈美]:「そうね。この味なら確かに飲みたくなっちゃうわ」

そう言って杠は微笑んだ。こいつの笑顔は、初めてみたかもしれない。打ち解けることができたみたいで少し嬉しい。


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