カランド(8)
……………………。
[カホラ]:「半分くらいみたけど、出てこないわね」
[吹雪]:「はあ、やっぱりないかー」
こんなはずじゃなかったんだけどなー。
[カホラ]:「しょうがないわ、こういうこともあるでしょう」
次は気をつけないとな。
[カホラ]:「一旦ゴミを捨てましょうか? 吹雪、ゴミ箱持ってきてもらえるかしら?」
[吹雪]:「了解です」
俺は部室に戻り、ゴミ箱を取りに行く。
[カホラ]:「ありゃ、何だよ、まんぱんじゃねぇか」
ここの掃除当番、ゴミ捨てに行くのサボりやがったな。これじゃ不必要な用紙は入り切らないぞ。
[吹雪]:「うーん……」
はあ、ここで悩んでても解決には結びつかないよな。この状況を変えられるのはただ一人。そう、俺だ。
[吹雪]:「行くしかねぇか」
俺はゴミ袋を焼却炉に持っていくことにした。
……………………。
はあ、次はちゃんと捨てに行ってほしいもんだ。さて、ちょっと遅れてしまったが、準備室に行こう。
[カホラ]:「ちょ、ちょっと? 吹雪? これは何なの~?」
[吹雪]:「え? 何ですか?」
[カホラ]:「とにかく、こっちに来てよ~!」
何だか先輩が慌てている。俺は言われるままに準備室へと入った。
[吹雪]:「どうしたんですか? せんぱ、い……」
[カホラ]:「…………」
先輩の手に握られていたもの。それは――、
[吹雪]:「おっぱい万歳、巨乳の女優はどんな味……のおおおおおおっ!?」
アダルトDVDだった。
[カホラ]:「何でこんなものが準備室にあるのよ!?」
[吹雪]:「し、知らないですよ。俺もびっくりです」
[カホラ]:「本当に? 部室でこっそり見てたんじゃないの?」
[吹雪]:「そ、そんなことしないですよ。何でわざわざ学校でそんなもの見なくちゃいけないんですか?」
[カホラ]:「じゃあ何でこんなものがここにあるの? しかもこんなところから出てくるってことは、絶対隠してたってことじゃない」
[吹雪]:「それは分かりませんけど、とりあえず俺じゃありません。俺はそんな過激なの持ってません」
[カホラ]:「過激なのってことは、違うのは持ってるってこと?」
[吹雪]:「え? そ、そんなこと……ないです」
[カホラ]:「絶対持ってるでしょ! もう、エッチ~」
[吹雪]:「何故俺が責められてるんですか?」
[カホラ]:「だって男の子じゃないの! 男の子しかこんなもの見ないわよ」
[吹雪]:「でも、俺は見てません。そのパッケージだって初めて見ましたよ」
[カホラ]:「本当に?」
[吹雪]:「本当です」
こんなもの学校に持ってくる奴なんて、あいつしかいない。