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ソプラノ  作者: BAGO
カランド
76/1013

カランド(2)

[場所:スーパー]


[吹雪]:「随分混んでたな、今日のスーパーは」

[舞羽]:「ちょうどタイムセールの時間だったからね。お客だって安く買えたほうが良いに決まってるし」

[吹雪]:「そりゃそうだ。目的の品はちゃんと買えたか?」

[舞羽]:「うん、バッチリ」

マイバックを俺の目線に持ってくる。

[吹雪]:「確か、パン粉買いに来たんだよな?」

[舞羽]:「うん、今日はホタテの香草焼きを作るから」

[吹雪]:「……メチャクチャ上手そうな献立だな」

[舞羽]:「そう? 吹雪くん家は今日は何を食べるの?」

[吹雪]:「俺の家? 今日は炒め物だな。肉と野菜を入れて適当に」

[舞羽]:「……よかったらおすそ分け持っていく?」

[吹雪]:「いやいや、大丈夫だよ。ボリュームたっぷりに作るから。米も4合炊くし」

[舞羽]:「遠慮ならしなくていいよ?」

[吹雪]:「してないしてない、本当に死ぬほど食いたくなったらお願いするよ」

[舞羽]:「そう?」

[吹雪]:「おう、いつもサンキューな」

頭をぽんぽん撫でてやると、舞羽は恥ずかしそうにはにかんでいた。

さて、今日はこれでやることは全て終了したわけだが……。まだ夕飯を用意するには早い過ぎるな。

[吹雪]:「舞羽、この後の予定は?」

[舞羽]:「夕ご飯の準備をするくらいだよ」

[吹雪]:「じゃあ、特にこれといった用事はないんだな?」

[舞羽]:「うん」

そうか、じゃあ――。

[吹雪]:「寄って行こうぜ?」

[舞羽]:「え? 何処に?」

[吹雪]:「あそこだよ、あそこ」

俺は少々先にある喫茶店を指差した。

[舞羽]:「え? もしかしてバーバロ?」

[吹雪]:「何だ、舞羽も知ってるのか?」

[舞羽]:「も、もちろん……むしろ知りすぎてるくらいで……」

[吹雪]:「お前のバイト先だもんな」

[舞羽]:「……この会話って必要あったかな?」

[吹雪]:「なかったかもな」

[舞羽]:「あはは……」

[吹雪]:「このまま帰っても暇だからな。ちょっと一服してから帰ってもバチは当たんないんじゃないか?」

[舞羽]:「うん、そうだね……」

[吹雪]:「やっぱり自分のバイト先っていうのはイヤか?」

[舞羽]:「そういうわけじゃないんだけど……何か恥ずかしいというか……」

[吹雪]:「いい機会じゃないか? 自分の店が提供している味がどれ程のものなのかを知ることができる」

[舞羽]:「確かに、そうだね」

[吹雪]:「まあ、直す必要がないくらいにいい味出てるけどな、バーバロのメニューは」

[舞羽]:「いつもご贔屓ありがとうございます」

[吹雪]:「本当のことだぞ、俺はバーバロのファンだからな」

この島一番の喫茶店と言ってもいい。

[吹雪]:「だからよ、寄ってってダメか? バーバロの軽食が俺を呼んでるのよ」

[舞羽]:「寄る分には全然構わないんだけど、その、私……」

申し訳なさそうに財布を見せてくる。

[吹雪]:「うっかりしちゃって、買い物分のお金しか持ってきてなくて。入っても水しか飲めないんだ」

[舞羽]:「何だそんなことか、なら俺が奢ってやるよ」

[吹雪]:「え!? え~?」

[舞羽]:「何だ、そんなにびっくりして。そんなに俺は気持ち悪いか?」

[吹雪]:「ひ、一言も言ってないよそんなこと」

[舞羽]:「ならいいじゃねぇか。遠慮すんな」

[舞羽]:「でも、悪いよ……」

[吹雪]:「何戯言言ってやがる」

[舞羽]:「ざ、戯言?」

[吹雪]:「こんなんが悪いって言ったら、週に何度か夕飯作り手伝ってもらってる俺なんか麻薬売りさばいてるマフィア並みに悪い奴だぞ? 大人しく奢らせろよ」

[舞羽]:「本当に?」

[吹雪]:「俺が行きたいって言ったんだ。付き合ってくれたお礼って考えな。それだったら納得だろう?」

[舞羽]:「――うん、ありがとう」

[吹雪]:「よし、じゃあ行こうぜ」

俺たちはバーバロに向かった。

……………………。


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