カランド(1)
12月13日(月曜日)
・バーバロ
・部室
・教室
・職員室
・バーバロ
[場所:道路]
[吹雪]:「――ホントに、舞羽って奴は」
[舞羽]:「え? わ、私!?」
[吹雪]:「ん? どうした? 舞羽?」
[舞羽]:「え? 今、私の名前言ったよね?」
[吹雪]:「いや、俺は舞羽って奴はって言っただけだぜ?」
[舞羽]:「そ、それ私の名前なんだけど……」
[吹雪]:「ああ、そういえばそうだったな」
[舞羽]:「ちょっと、無理があるんじゃないかな、その言い草は……」
[吹雪]:「で? 何か言うことでもあるのか?」
[舞羽]:「こっちの台詞だよー、それは。私何か悪いことした?」
[吹雪]:「いんや、何も」
[舞羽]:「じゃあ、何でそんな文句ありそうな言葉を?」
[吹雪]:「これ言えば舞羽が困るんじゃないかなーって思ってな」
[舞羽]:「こ、困らせたかったの? 何で?」
[吹雪]:「理由はないぞ、別に」
[舞羽]:「あ、そ、そうなんだ……」
[吹雪]:「俺としてはもう少し慌ててほしかったんだがな~」
[舞羽]:「ご、ごめんなさい……って何で私が謝る必要があるのー? むしろ私が謝ってほしいくらいだよー」
[吹雪]:「だって、舞羽の驚く顔って、おもしろいからよ」
[舞羽]:「吹雪くん、悪趣味……」
[吹雪]:「旧知の仲だからこそできるからかいじゃないか? 普通の友達とかだったらこんなことできないぞ? あんたって最低、バコンって殴られて終わりだ」
[舞羽]:「そ、そうかな?」
[吹雪]:「おそらく。その点、舞羽は温和だからそんなバイオレンスは起こさない」
[舞羽]:「傷つくのは、嫌だからね」
[吹雪]:「だから、安心してからかうことができる」
[舞羽]:「ちょっと、それはどう考えてもおかしいってば!?」
[吹雪]:「まあまあ、深く考えたら負けだぞ? 舞羽」
[舞羽]:「うー、考えさせてるのは吹雪くんじゃないのー」
[吹雪]:「大丈夫だ、全く問題ない」
[舞羽]:「大アリの気がするんだけど……」
[吹雪]:「まあまあ、気にしないでいこうぜ」
[舞羽]:「……納得いかないよ……」
[吹雪]:「それよりほら、目的の場所に向かおうぜ? 頼まれてるんだろう?」
[舞羽]:「う、うん。そうだね……」
[吹雪]:「どうした? 何か顔が引きつってるぞ?」
[舞羽]:「あ、あえて何も言わないことにするよ……」
[吹雪]:「そうか、ならいいか」
[舞羽]:「あは、あははは……」
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