エネルジコ(8)
……………………。
[吹雪]:「――よし、復活」
[セフィル]:「疲れは取れたか?」
[吹雪]:「はい、大分。もう一頑張りいけます」
[セフィル]:「その意気だ。じゃあ、次の練習に移ろう。女子たち、ちょっとこっちに来てくれ。改めて何をするのか説明する」
わらわらと学園長の前に集まる。
[セフィル]:「今から君たちに、吹雪の持つ魔力をを開放するためのバリアを詠唱してほしいんだが、みんなはそれぞれどんなバリアを使うことができるんだ? ああ、フェルは答えなくていいぞ? 知ってるからな」
[舞羽]:「私は、風系のものであれば多少できます」
[カホラ]:「特にこれといって得意なものはないんだけど、強いて言うなら雷系統のものかしら」
[聖奈美]:「あたしはもちろん氷系のです」
[繭子]:「ワタシはあんまりバリアは得意じゃなくて、強化系のものならできるんですけど~」
[セフィル]:「ふむ、なるほど。――よし、分かった。これならいけるはずだ」
[舞羽]:「いけるって、何がですか?」
[セフィル]:「もちろんバリアさ、しかもとても耐性の高いものがな」
[舞羽]:「そうなんですか?」
[セフィル]:「喜べ吹雪、前以上に全力で魔力を打ち込めるぞ」
[吹雪]:「え? は、はい」
[セフィル]:「じゃあ、3人はフェルと一緒に自分の得意なバリアの詠唱を、繭子は私と一緒に一旦こっちに来てくれ」
[繭子]:「はーい」
[フェルシア]:「じゃあ、やりましょう」
[三人]:「はい」
[舞羽]:「――エル・エルフュリス、風の精霊よ、我を守る盾となり――エンブレイス!」
[カホラ]:「――エル・エルフィシンデス、雷よ、我を覆う強靭な壁となれ――ライトニアプロテクト!」
[聖奈美]:「――エル・エルベンス、氷の精霊よ、我を包む柔らかな雪となれ――クリスタルパウダー!」
[フェルシア]:「――エル・エリアーデュス・精霊よ、我を守る盾となり――マジックバリア!」
それぞれ詠唱された魔法は、4人の目の前に現れ、強固そうな壁となっている。
[セフィル]:「よし、じゃあ繭子、出番だ」
[繭子]:「はーい」
今度はマユ姉が目を閉じ、詠唱を始める。
[繭子]:「――エル・エルピアニス、精霊よ、我の力を皆の力に――ディヴァインエイダー!」
――詠唱とともに、周囲がキラリと輝き、そして元の状態へと戻った。
[セフィル]:「よし、仕上げは私が――。――エル・エルフィリード・リーリアス、光の精よ、紡がれし力、今ここに一つと成りし――マジカルマージ!」
学園長の詠唱が終わると、周囲の輝きが一層増した。
しばらくすると――。
[吹雪]:「おお、すげー」
口に出さずにはいられない、俺の前には、オーロラのように輝く美しい光景が広がっていた。まだ昼間だというのに、この鮮やかさ、これこそ魔法の力というべきか。
[セフィル]:「吹雪? 聞こえるか?」
[吹雪]:「はい、聞こえます」
[セフィル]:「今、みんなが唱えてくれた魔法を私の魔法で融合させた。おそらくこれ以上ないくらい強固に仕上がっていると思う。そっちから見てどんな感じだ?」
[吹雪]:「いや、何ていうか、とりあえずすごい綺麗です」
[繭子]:「え? ワタシが?」
言ってねえ、一言も。
[セフィル]:「私たちはこちら側でサポートに入る。とりあえず、何でもいいから一度魔法を唱えてバリアに当ててみてくれ」
[吹雪]:「分かりました」
じゃあ、最初は……。
[吹雪]:「――エル・エルティクス、大地の精霊よ、我に力を与えたまえ。――スティンガー!」
焦点をバリアに定め、解き放つ。
…………。
[吹雪]:「おおっ!」
また声を上げてしまった。俺の放った魔法は完全にバリアの中に飲み込まれていった。バリアに支障は全くなく、俺が放った魔法なんて元からなかったかのようにどっしりと構えている。
[セフィル]:「どうだ? 感想は」
[吹雪]:「すごい吸収力ですね、全くビクともしなくて。これなら何にも気にせず魔法を唱えられます」
[セフィル]:「それはよかった。じゃあ、練習を始めよう。私たちはしばらくここで待機している。何かあったら声をかけてくれ。全員でサポートに回るからな」
[吹雪]:「ありがとうございます」
[セフィル]:「ああ、分かってると思うが、スパークルは絶対にダメだからな? みんなが吹き飛んでしまうから」
[吹雪]:「大丈夫です、ご心配なく」
[セフィル]:「よし、では、練習始め」
俺は早速魔法の詠唱にかかった。