ラルゴ(9)
・第四音楽室
[場所:第四音楽室]
[カホラ]:「…………」
[吹雪]:「…………」
横で流れる先輩のピアノの音色。まだ少々ぎこちないが、それでも着実に進んでいく。
[カホラ]:「あ、ここはそのままシャープでいくのね」
そう言ってその和音を奏でてみる。
[カホラ]:「やっぱりこっちね」
[吹雪]:「そうですね」
[カホラ]:「よし、じゃあ進みましょう」
先輩はまた五線紙の音符を弾き進めていく。
……………………。
[カホラ]:「ふー、とりあえず一区切りかしら」
[吹雪]:「お疲れさまです、先輩」
[カホラ]:「どうだった? 横で聴いてみた感想は?」
[吹雪]:「先輩の努力が実ってきたように見えますね。いいペースで進んでるんじゃないですか?」
[カホラ]:「本当? 嘘ついてないわね?」
[吹雪]:「今嘘ついても何もメリットないじゃないですか」
[カホラ]:「信じていいのね? じゃあ」
[吹雪]:「はい」
[カホラ]:「ふふ、ありがと」
先輩はウインクして返した。
[カホラ]:「ちょっと休憩入れましょうか。ちょうど一区切りだし」
[吹雪]:「ジュースでも買ってきましょうか?」
[カホラ]:「んー、そうね。あ、私も行くわ、ちょっと場所を変えましょう」
[吹雪]:「そうですか? 休んでていいのに」
[カホラ]:「いいのよ、気分転換にはちょうどいいわ。さ、行きましょう」
[吹雪]:「あ、はい」
……………………。