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ソプラノ  作者: BAGO
ラルゴ
58/1013

ラルゴ(5)

 [場所:第二音楽室]

 

[吹雪]:「ほら、どうぞ」

[聖奈美]:「ええ、いただくわ」

すっかり杠の表情は戻っていた。杠はストローを刺していちご牛乳を飲んでいく。

[聖奈美]:「んっ、んっ……」

[吹雪]:「…………」

何だか、イメージにそぐわない光景が目の前に広がってるな。杠が紙パックの飲み物を飲んでいるとは。勝手なイメージで、ティーカップに注がれた飲み物しか興味がないように見えるんだよな、どうしても。俺の偏見にすぎないんだが。

[聖奈美]:「何よ? 人のことジロジロ見て」

[吹雪]:「いや、飲み物、それでよかったか?」

[聖奈美]:「ええ、別に問題ないわ。選ばせたのはあたしなんだから」

[吹雪]:「そうだけど、やっぱ気になるだろ?」

[聖奈美]:「大丈夫よ、甘いものは基本的に好きだから」

[吹雪]:「そうか」

ダルクは微笑んで見せた。

[吹雪]:「よかった」

[聖奈美]:「変ね、文句を言うなって言っていたのに」

[吹雪]:「いや、買う側としてはなるべく不味いものは飲ませたくないだろう」

[聖奈美]:「ふーん、なかなかいい心がけじゃない」

[吹雪]:「そりゃどうも」

[聖奈美]:「とりあえず、甘いものは基本好きだから、覚えておくといいわ」

[吹雪]:「ああ、そうする」

[聖奈美]:「あなたは何が好きなのよ?」

[吹雪]:「え、俺?」

何だろうな……。

[吹雪]:「基本何でも好きだぞ」

[聖奈美]:「何よ、その返答。答えになってないじゃない」

[吹雪]:「いや、だって」

[聖奈美]:「その中で、特に何が好きなの?」

[吹雪]:「うーん、ハンバーグとかカレーとか?」

[聖奈美]:「随分子供っぽいものが好きなのね」

[吹雪]:「いいだろー? すっげぇ美味しいじゃないか。子供にも大人にも愛される料理だぜ。お前、嫌いなのか?」

[聖奈美]:「そういうわけではないけど」

[吹雪]:「じゃあいいじゃないか。答えになってるだろ?」

[聖奈美]:「まあ、いいわ。誰が何を好きだろうと否定はできないものね」

そう言いながら杠はパックに口をつける。

[聖奈美]:「ふう、さて、再開しましょう」

[吹雪]:「もう休憩終了か?」

[聖奈美]:「ええ、あんまり休むと、時間がもったいないもの」

[ダルク]:「無理はダメだからね? 聖奈美」

[聖奈美]:「ええ、分かってるわ」

杠はイスに腰を下ろす。

[聖奈美]:「大久保」

[吹雪]:「何だ?」

[聖奈美]:「今回は、何でもいいから気づいたことを言ってちょうだい、いいわね」

[吹雪]:「ああ、善処する」

[聖奈美]:「じゃあ、弾くから聴いててちょうだい」

杠は鍵盤に指を置いた。  


次回、第三音楽室のお話です。

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