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ソプラノ  作者: BAGO
ラルゴ
55/1013

ラルゴ(2)

……………………。。

[舞羽]:「ほら、買ってきたぞ」

[吹雪]:「うん、ありがとう」

俺が買ってきたのは、パインサイダーとアイスココア。

[舞羽]:「どっちか好きなのを選ぶといい」

[吹雪]:「うん、これはどういう方針で買ってきたの?」

[舞羽]:「ん? いや、目をつぶって適当にポチっと」

[吹雪]:「本当にランダムに買ったんだ……」

[舞羽]:「はは、まあちゃんとしたもの買えたし、気にするなって」

ココアがホットじゃないのはちょっと失敗だったかもしれないが。

[吹雪]:「ほら、どっち?」

[舞羽]:「じゃあ――こっち」

舞羽はパインサイダーのほうを選んだ。

[舞羽]:「普通のサイダーと何が違うのかな?」

[吹雪]:「そりゃパインだから、パイナップル風味なんだろうよ。飲んでみれば分かるさ」

[舞羽]:「そうだね、いただきまーす」

舞羽はプルタブを開けて缶に口をつけた。

[舞羽]:「あ、おいしい。酸味が適度に利いてて」

[吹雪]:「そりゃよかった。たまにはいいだろう? 俺のランダムセレクトは」

[舞羽]:「今回は正解だね」

[吹雪]:「俺も飲むか」

タブを開けて一口。

[舞羽]:「ん、ちょっと甘みが強いな」

[舞羽]:「本当?」

[吹雪]:「ああ、今まで数々のココアを飲んできた俺には分かる。いわゆるダダ甘だ」

[舞羽]:「吹雪くん、そこまでココア通だっけ?」

[吹雪]:「いや、一ヶ月に一本飲むか程度だが」

[舞羽]:「すごく一般的だと思うけど」

[吹雪]:「だが、このココアは甘い。甘みが強い」

[舞羽]:「ココアってそんなものなんじゃないの? お砂糖たっぷり入ってるはずだし」

[吹雪]:「それを引いてもだ、この甘さは俺にはキツい。甘いものがそれほど得意ではない俺にとっては」

[舞羽]:「それが一番甘く感じる理由なんじゃ……」

[吹雪]:「そうかもしれないな」

[舞羽]:「とっかえっこする?」

[吹雪]:「いや、大丈夫。これくらいでヘバってたら男が廃る」

[舞羽]:「缶ジュースにそこまで頑張らなくても」

[吹雪]:「飲むのがいやなわけじゃないから平気だ。舞羽は気にせず飲んでくれ、ゴクゴクと」

[舞羽]:「う、うん、分かった」

舞羽はそう返してサイダーを口に運ぶ。

[吹雪]:「……べっくしゅん!」

[舞羽]:「風邪? 吹雪くん」

[吹雪]:「いや、ちょっとむずっときただけだ」

[舞羽]:「そう? ならいいけど」

[吹雪]:「最近、めっきり寒くなってきたからな」

[舞羽]:「そうだね、コートを羽織ってもまだ寒いもんね」

[吹雪]:「だな、この島が四季の変化が顕著ってのもあるんだろうけど」

[舞羽]:「そうだね、変わり目がはっきりしてるもんね」

[吹雪]:「最近は、ストーブから離れることが全くできない」

[舞羽]:「みかんでも食べながら?」

[吹雪]:「いや、食べてないな」

[舞羽]:「そうなの? 時期なのに?」

[吹雪]:「ないんだよな家に。今が旬だから食いたいとは思うんだけどよ」

[舞羽]:「今ならスーパー行くと結構安く売ってるんじゃない?」

[吹雪]:「うん、近々買いに行くか。あ、でも合宿までに食いきれる量を買わないと。腐っちまう」

[舞羽]:「お裾分けしてもいいんじゃない? メンバーに。評価が上がるんじゃない?」

[吹雪]:「うーん、そういう手もあるか」

[舞羽]:「私にしてもいいよ?」

[吹雪]:「なら舞羽にはみかんの皮をあげよう」

[舞羽]:「それって、単なる生ゴミじゃない!?」

[吹雪]:「いや、そうでもないぞ? 皮には果汁が含まれてるから、ちょっとムカつく輩がいたらこうブシュっと」

[舞羽]:「何だか仕返しが地味のような気が、というかムカつく人、今はいないから」

[吹雪]:「ん? そうなのか?」

[舞羽]:「うん。……そういうことにしておいて」

[吹雪]:「ここで舞羽の評価を下げても困るしな。うん、分かった」

[舞羽]:「評価?」

[吹雪]:「気にしたら負けだぞ」

[舞羽]:「わ、分かった」

ゴクゴクゴク。

[舞羽]:「はあ、美味しかった」

[吹雪]:「どうするんだ?」

[舞羽]:「もちろん、再開するよ。アシスタントよろしく」

[吹雪]:「やる気十分だな、よし、任せとけ」

親指を突き出すと、舞羽も同じように返してきた。


次は選択肢、第二音楽室の内容です。

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