ヴィヴァーチェ(5)
[吹雪]:「――明日でもいいから、俺が寝てた授業のノート見せてくれないか?」
[舞羽]:「あんまりピックアップされたところはなかったよ」
[吹雪]:「だとしても、あるだけで結構違うと思うからよ。お願いできるか?」
[舞羽]:「うん」
[吹雪]:「世の中、ギブ&テイクだからな。助け合って行こうぜ」
[舞羽]:「そうだね」
そんなどうでもいいことを話しながら階段を降りていくと。
[繭子]:「フェルー、準備できたよー」
[フェルシア]:「じゃあ、行きましょうか」
聞き慣れた二人の声が聞こえる。また違うほうからは、
[ダルク]:「ごめんね、聖奈美、役に立てなくて」
[聖奈美]:「もういいって、今回は仕方ないことだもの。次気をつけてくれればいいわ」
[ダルク]:「うん、ありがとう」
これまた聞き慣れた一人と一匹の声。さらには、
[セフィル]:「さあ、帰ろうか、カホラ」
[カホラ]:「忘れ物はない?」
[セフィル]:「うむ、問題ない」
そして――、
[繭子]:「あ、ふーちゃん」
[フェルシア]:「舞羽ちゃんに吹雪くん」
[聖奈美]:「あ、大久保吹雪」
[ダルク]:「え? みんな」
[セフィル]:「お? これは何という偶然」
[カホラ]:「そうね」
みんながみんな、顔を合わせて驚いていた。
[セフィル]:「何で全員集合してるのだ?」
[吹雪]:「いや、多分みんな下校するんだと思いますけど」
[セフィル]:「それもそうか」
[フェルシア]:「でも、何でこんなにタイミングよく」
[繭子]:「それはあれだよー、みんなの心が一つだったからだよ」
[聖奈美]:「こ、心が一つ?」
[繭子]:「うん、みんながそれぞれ、みんなのことを信じて止まなかった。だからこうして顔を合わせることができた。みんなに笑顔が戻った、プロジェ○トX!」
[舞羽]:「なんか、どこかで聞いたことがあるような……」
[繭子]:「でも、ステキなことだよー。こうしてみんなと会えたっていうのは」
[吹雪]:「俺たちは毎日顔を合わせてるがな」
[繭子]:「もう、ふーちゃん。そういうことは言わなくてもいーじゃん」
[吹雪]:「事実を言っただけだ」
[繭子]:「ぶーぶー」
[フェルシア]:「まあまあ、繭子」
[カホラ]:「でも、みんな本当に下校なの?」
[舞羽]:「はい、そうですね」
[聖奈美]:「あたしたちもです」
[フェルシア]:「私たちも、仕事が早めに片づいたからね」
[セフィル]:「同じく、私たちもだ」
[舞羽]:「じゃあ、本当に偶然が重なったんだ」
[ダルク]:「こんなことってあるんだね」
[セフィル]:「確率的には2%あるか分からないな」
[舞羽]:「そ、そんなに低いんですか?」
[セフィル]:「単純に考えてそうではないか。一人とすれ違うならそれなりにあるだろうが、8人が一斉にだからな。普通はそうそうあるまい」
[舞羽]:「そっか、そうですね」
[セフィル]:「うむ、これは何か神のお導きを感じるな。――よし、みんな、今からバーバロに行くぞ」
[吹雪]:「え? バーバロですか?」
[セフィル]:「うむ、バーバロだ」
[吹雪]:「何でそんな急に……」
[セフィル]:「だから、こんな偶然はそんな簡単に起こるものではないんだろう? 祝わなければもったいないじゃないか。盛大に盛り上がるのがいいと私は思うんだよ」
[吹雪]:「でもそんな急に、お金そんなに持ってないですよ」
[セフィル]:「心配するな、私が払いを持ってやろう」
[繭子]:「ええっ!? 学園長が全部?」
[セフィル]:「ああ、私から言い出したんだからな。それに、金銭なら余裕がある」
さすが学園長……というか、そんなことを生徒の前で堂々と言っていいのか? それなりにもらっているのは想像つくけど。
[カホラ]:「お母さん、そういうことは伏せておくものよ」
[セフィル]:「まあいいじゃないか、自慢したい時というのは誰でもあるだろう」
[聖奈美]:「じ、自慢って……」
[セフィル]:「とにかくそういうことだ。お金の心配はいらないぞ。よくよく考えたら、ピアニストとハーモニクサーに選ばれた者たちを祝ってやってなかったからな。今回がいい機会じゃないか。みんな、予定はないんだろう?」
[聖奈美]:「それは、ありませんけど」
[セフィル]:「ならいいではないか、祝わせてくれ」
[繭子]:「学園長、何を食べてもいいんですかー?」
[吹雪]:「おい、マユ姉」
[セフィル]:「ああ、いいぞ。お祝いなんだからな」
[繭子]:「行こうよー、ふーちゃん」
[吹雪]:「いいのかな? 本当に」
[セフィル]:「私がいいと言っているんだぞ? 遠慮は無用だ」
[吹雪]:「……じゃあ、お言葉に甘えて」
[セフィル]:「よし、聖奈美も来るだろう?」
[聖奈美]:「え? あたしは?」
[セフィル]:「みんな来るんだ、聖奈美だけ来ないというのは野暮ってものだぞ?」
[繭子]:「行こうよー、聖奈美ちゃん」
[セフィル]:「繭子もそう言っている。来てくれないか?」
[聖奈美]:「わ、分かりました」
[セフィル]:「よーし、全員出席ってことだな。じゃあ、早速行くとしよう。いざ出陣だ」
[舞羽]:「愛海にメールしておこうかな」
[セフィル]:「今日は愛海が入っているのか?」
[舞羽]:「はい、そう言っていました」
[セフィル]:「そうか、からかってやるとしよう」
[カホラ]:「お母さん?」
[セフィル]:「生徒との絡みは大事なことだろう?」
[カホラ]:「もう」
――急遽決まった偶然の出会い&ピアニスト、ハーモニクサーお祝い会。俺たちは学園長の気遣いに肖り、楽しい一時を過ごしたのだった……。
次回は選択肢です。
好きな子をセレクトしててください^^




