エスプレッシーヴォ(3)
・図書室
[場所:教室]
[吹雪]:「さーて、今日も授業が終わったわけだが」
終わったからと言って特にすることがないのが現状。午前中は練習があるから疲れも溜まってるし、真っ直ぐ家に帰るのがいいんだろうな。でも、それだけだと何か、
[カホラ]:「つまらないんでしょ?」
[吹雪]:「おおっ!?」
[カホラ]:「失礼ね、そんなに驚かなくてもいいんじゃない?」
[吹雪]:「いや、だって先輩、この学年じゃないじゃないですか?」
[カホラ]:「学年が違うから来ちゃダメってことはないでしょう?」
[吹雪]:「それは、そうですけど」
[カホラ]:「二学年だからといって二学年の生徒が来るとは限らない。人生ってそんなものよ、吹雪」
[吹雪]:「「な、何で人生の話に?」
[カホラ]:「特に理由はないわ」
[吹雪]:「そ、そうですか」
[カホラ]:「それより、吹雪今、つまらないって言ってたわよね」
[吹雪]:「え? 口には出してませんよ?」
[カホラ]:「出してなくても考えてたんじゃないの? 露骨に顔が言ってたわよ」
[吹雪]:「マジですか?」
[カホラ]:「ふふ、吹雪のことは何でも分かるわよ」
[吹雪]:「――というか先輩。先輩はどうしてここへやってきたんですか?」
[カホラ]:「あら? 言ってなかったっけ?」
[吹雪]:「まだ何も聞いてませんよ」
[カホラ]:「そっか」
[吹雪]:「どうしてここへ?」
[カホラ]:「えーっと、そうそう。吹雪にちょっとお願いしに来たんだったわ」
[吹雪]:「お願いですか?」
[カホラ]:「うん、普通に帰るのはつつがないんでしょう?」
[吹雪]:「まあ、確かに」
[カホラ]:「それなら、ちょっと私に付き合ってもらえないかしら?」
[吹雪]:「何かするんですか?」
[カホラ]:「ええ、ちょっと探したい資料があるのよね。一人だと骨が折れるから吹雪に手伝ってもらいたいのよね。ダメかしら? 暇はしないと思うけど」
[吹雪]:「資料探索、何を探すんですか?」
[カホラ]:「それは探してみてのお楽しみ」
[吹雪]:「えー? 教えてくれないんですか?」
[カホラ]:「ふふ、そのほうがやる気が沸いてくるでしょう?」
……まあ、特に家に早く帰る理由もないし。
[吹雪]:「いいですよ、俺でよければ手伝います」
[カホラ]:「ありがとう、吹雪」
[吹雪]:「全然いいですよ」
[カホラ]:「じゃあ行きましょうか、忘れ物ない?」
[吹雪]:「あってもそこまで困るもんじゃないです」
[カホラ]:「そう、ならいいわね」
……………………。