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ソプラノ  作者: BAGO
カンタービレ
31/1013

カンタービレ(7)

[場所:グランド]


[吹雪]:「はあ、はあ……」

[セフィル]:「いいぞ、その調子で後3周だー」

[吹雪]:「は、はい。はあ、はあ……」

俺は走っていた、それこそフルマラソンのランナーばりに。何でか、それはもちろん練習の一環だ。ホーリーカルムを取得するためには、不足している魔力、その他もろもろを補わなければならない。これもそのための訓練だ。スタミナを付けて、ホーリーカルムを持続させるための訓練。スタートしてから2時間、ようやく終わりが見えてきた。

[セフィル]:「ほら、落ちてきてるぞ。踏ん張るんだ、吹雪」

後ろから学園長の檄が飛ぶ。競争馬って、こんな気持ちなのかもしれないな。

[吹雪]:「はあ、はあ……」

[セフィル]:「よし、ラスト1周だ、スパートをかけろ」

[吹雪]:「はあ、ふっ、はあ……」

俺は力を振り絞ってピッチを上げる。

……………………。

…………。

……。

[セフィル]:「よーし、ゴールだ」

[吹雪]:「はあ、疲れた……」

俺はグランドの芝に仰向けに倒れた。

[セフィル]:「とりあえずは及第点だな。よく走りきった」

[吹雪]:「あ、ありがとうございます。はあ、はあ……」

[セフィル]:「はは、まともにしゃべれないくらい疲れたか」

[吹雪]:「そう、ですね。とにかく、限界です」

初っ端から走り込みはかなり応えた。

[セフィル]:「ほら、飲むといい」

[吹雪]:「あ、ありがとうございます」

渡してくれたドリンクを飲ませてもらう。

[吹雪]:「はあー、うめー」

[セフィル]:「ふむ、私も飲みたくなってくるな」

[吹雪]:「学園長、別に喉渇いてないんじゃ?」

[セフィル]:「吹雪飲みっぷりを見てたら渇いてきてしまった。一口飲ませてくれ」

[吹雪]:「あ、はい。どうぞ」

学園長は受け取ると、一口口に含んだ。

[セフィル]:「うん、練習に付き合った後のドリンクはうまいな」

学園長が吐き出した息は白かった。

[吹雪]:「にしても、俺なんかに付き合ってくれてよかったんですか? 学園長」

[セフィル]:「え? どうしてだ?」

[吹雪]:「だって、俺はピアニストのサポートの役回りでしょう? ピアニストのほうが重要視されるはずなのに」

[セフィル]:「うーん、65点の解答だな、吹雪」

[吹雪]:「え?」

[セフィル]:「ちょっと考えが甘いぞ。たかがサポートと思っているかもしれないが、されどサポートだ」

[吹雪]:「は、はい」

[セフィル]:「確かにピアニストは重要な役回りだ。だが、それと同じくらいハーモニクサーも重要な役回りなんだ。吹雪が思ってる以上にな」

[吹雪]:「は、はい」

[セフィル]:「私の考えとしては、ハーモニクサーをこれ以上ないくらいに仕上げることで、ピアニストが最高の演奏ができるものと思っているんだ。どうしてか分かるか?」

[吹雪]:「それは……俺がしっかりしてれば、変に緊張もせず、本来の演奏ができるから、ですか?」

[セフィル]:「そう、その通りだ。分かっているじゃないか。吹雪が完璧なサポートをすればそれだけ四人の負担も減らすことができる。成功への近道なんだよ」

[吹雪]:「なるほど」

[セフィル]:「だから、私は吹雪の練習に付き合っているというわけだ。理解できたか?」

[吹雪]:「はい」

[セフィル]:「まあ、私がこっちを手伝いたかったってのもあるんだがな?」

[吹雪]:「え?」

[セフィル]:「カホラにその気は……いや、どうだろうな」

[吹雪]:「学園長? どうかしました?」

[セフィル]:「いやいや、何でもないぞ。さあ、もう一回ランニングを開始しようか」

[吹雪]:「え? これで終わりじゃなかったんですか?」

[セフィル]:「急遽予定を変更だ。吹雪の基礎体力はこんなものじゃないと私は踏んだ。もう10周くらいいけるだろう」

[吹雪]:「え? マジですか?」

[セフィル]:「うん、マジだ。さあ、行くぞ!」

学園長に急かされ、俺は再スタートを切ることになった。


はあ……疲れた。さすがに限界状態からの10周プラスは辛すぎた。さっきから足が悲鳴を上げている。でもまあ、スタミナがついた実感はあるな、確実に。スピードを緩めるわけにもいかなかったし(学園長が後ろから追いかけてくるから)いい練習にはなっただろう。

さて、ここからはハーモニクサーの第二の使命を果たさなければ。ピアニストとの連携を深め、良い演奏にするために。さて、何処に行こうか。

・第一音楽室

・第二音楽室

・第三音楽室

・第四音楽室


次回から選択肢の内容が入ってきます。好きな子を選んでくれると、お話が楽しくなるかもしれません。


今後もお付き合いよろしくお願いします。

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