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ソプラノ  作者: BAGO
カンタービレ
30/1013

カンタービレ(6)

12月4日(土曜日)

 

 [場所:吹雪の家]


[舞羽]:「――くん、朝だよ」

[吹雪]:「んん?」

[舞羽]:「吹雪くん、起きて」

[吹雪]:「ん、あれ? 舞羽? 来てたのか?」

[舞羽]:「うん、おはよう、吹雪くん」

[吹雪]:「おはよう」

目覚ましを見ると、まだ起床時間は来ていなかった。

[吹雪]:「まだ朝早いけど、どうかしたのか?」

[舞羽]:「あれ? ホントに?」

[吹雪]:「ああ」

時計を舞羽に見せてやる。

[舞羽]:「うわー、やっちゃったよー。ごめん、吹雪くん」

[吹雪]:「はは、まあ気にするな。今日は学園に行かなきゃいけないしな」

たまには早起きもいいだろう。カーテンを開けると、たっぷりの日差しが部屋に注がれてきた。

[吹雪]:「うん、いい天気だ」

天気がいいと、心も晴れてくる気がするな。

[舞羽]:「私、朝ご飯の用意するね」

[吹雪]:「ホントか?」

[舞羽]:「うん。あ、何か食べたい物ある?」

[吹雪]:「何だよ、作ってくれるのか?」

[舞羽]:「うん、早く起こしちゃったお詫び」

[吹雪]:「じゃあ、そうだな……野菜スープが飲みたいかもしれない」

[舞羽]:「野菜スープだね、任せて、美味しいの作るから」

拳をぎゅっと握ってやる気十分のようだ。

[舞羽]:「じゃあ、少し待っててね。作ってく――きゃあ!?」

ドテン。舞羽は躓いて前のめりにこけた。

[吹雪]:「お、おい、大丈夫か?」

[舞羽]:「いたた、うん、大丈夫」

一体何に躓いて、ああ、イスの足に引っかけたのか。というか――。

[吹雪]:「あー、舞羽よ」

[舞羽]:「え?」

[吹雪]:「その、さっきから、パンツ見えてるぞ」

[舞羽]:「え? ――ひゃあ!?」

舞羽は慌てて立ち上がろうとする。だが、それがいけなかったようで、

[舞羽]:「ひぎゃあっ!?」

今度は足マットで足を滑らせ、また前のめりにずっこけた。もちろん、スカートは全部めくれあがっている。本当は見ないほうがいいんだだろうが、そこは悲しき男の性、そこから目が離せない。

[吹雪]:「(あの色は、ライトブルーだな)」

っと、そんなことを考えてる場合じゃない。助け起こしてやらなければ。俺はモガいてる舞羽に手を差し出した。

[吹雪]:「ほら、大丈夫か?」

[舞羽]:「あ、吹雪くん。…………」

舞羽は赤くなりながら俺の手を取った。

[舞羽]:「うう、はずかしー」

[吹雪]:「まあ、あんまり気にするなよ」

[舞羽]:「だって、見た、でしょ?」

[吹雪]:「あ、ああ」

[舞羽]:「どれくらい?」

[吹雪]:「そりゃもう、バッチリと」

[舞羽]:「やっぱりー!」

舞羽は顔を覆ってしまった。

[吹雪]:「ほ、本当に気にするなって。俺は別に気にしてないから」

むしろ眼福だ。

[吹雪]:「大丈夫だって、な? な?」

[舞羽]:「うう、でも吹雪くん、何か嬉しそうだよ」

[吹雪]:「そ、そんなことは、ないはず」

[舞羽]:「……エッチ」

[吹雪]:「ゆ、許してくれ。あんなの目の前にあったら、誰だって見るって」

[舞羽]:「それは、そうかもしれないけど」

[吹雪]:「それに、俺たちは幼なじみだろ? 風呂だって一緒に入ったことあるし、そこまで大げさなことじゃ」

[舞羽]:「む、昔と今は全然違うよ~」

[吹雪]:「分かった、謝る。謝るから許してくれ」

俺は両手を合わせて頭を下げた。

[吹雪]:「もうあまり見ないようにするから」

[舞羽]:「ホントに?」

[吹雪]:「ホント」

[舞羽]:「ん、私にも否はあるもんね。うん、分かった。お互いに忘れよう」

[吹雪]:「おう、そうしよう」

[舞羽]:「お、思い出しちゃダメだからね?」

[吹雪]:「あ、ああ、善処するよ」

そう言われると、思い出しそうになるな。

[舞羽]:「あー、ダメだってば~」

騒がしい朝となってしまった。


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