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ソプラノ  作者: BAGO
個別ルート・カホラ フォルツァンド
293/1013

カホラルート・フォルツァンド(2)

[場所:社会科室]


練習を終え、社会科室に戻ってきた俺たちは、今日の儀式の最終ミーティングを行う。詳しい日程に関しては、昨日のうちに大半を聞いている。場所が場所なだけに、島民から注目を浴びるということはないのだが、島に設置されたスピーカーを通してピアニストの活躍を確認する。そう、この儀式の参加者は、島民全員ということだ。俺も昔、父さん母さんと一緒に住んでいた頃は、家の外の広場に出てピアノの音色を聴いていた記憶がある。それを今回は、俺がサポートする。緊張するけれど、ちょっと誇らしい気分だ。……帰ってきた時にでも伝えてやりたいな。

[セフィル]:「大体のことは把握したな?」

[全員]:「はい」

儀式の始まりは年が変わる15分前。ピアニストとハーモニクサーが選出されるのと似ていて、曲が終わると同時に四季のピアノが月と共鳴し、優しい光で包まれた時、来年の四季は約束される。

[セフィル]:「練習風景を見せてもらった限り、君たちに落ち度は見当たらなかった。本番もあの感じで弾ければ、間違いなく成功するはずだ。だから、あまり緊張はしないで、リラックスして臨むんだ。いいか?」

[全員]:「はい」

[セフィル]:「じゃあ、私は用があるから一度退散させてもらうぞ」

学園長は社会科室から出て行った。この後はしばしの休憩を挟み、本番前にもう一度だけ練習を入れる。この休憩で緊張を解せということかもしれない。

[舞羽]:「お茶でも煎れようか、私家庭科室行ってくるよ」

[聖奈美]:「あ、あたしも行くわ」

そう言って二人が立ち上がった時だった。

コンコン。

ドアがノックされ、ガラガラと扉が開かれた。そこから出てきたのは――。

[祐喜]:「失礼します。あ、やっぱりここにいたんだ」

[愛海]:「あ、みんなそろってるわね」

[翔]:「な、何と言う羨ましい光景……」

すっかり見知った三人組だった。

[吹雪]:「お前ら、どうしてここに?」

[愛海]:「そんなの一つしかないでしょう? 友人が大切な儀式の中心として頑張るのに、激励もしないなんて考えられないでしょう?」

[祐喜]:「三人でお金持ち寄って、みんなに差し入れ買ってきたんだ。僕たちにできることと言ったらこれくらいしかないから」

[翔]:「羨ましい光景だ……」

約一名変なことをずっと呟いているが、今はまだ触れないでおこう。

[舞羽]:「わざわざ買ってきてくれたの?」

[祐喜]:「うん、たいしたものは買ってこれなかったけど。はい、どうぞ」

祐喜は舞羽に持っていたものを手渡した。

[祐喜]:「中身はケーキだから、一応美味しそうなものを見つくろってきたつもりだけど……」

[カホラ]:「そこまでしてくれただけで十分嬉しいわ、ありがとう、三人とも」

[繭子]:「わーい、ケーキだケーキだ~」

予想通り、マユ姉は子供のようにきゃっきゃとはしゃぎ出す。

[聖奈美]:「ここまでしてもらって、失敗はできないわね」

その横で杠は静かな闘志を漲らせている。


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