カホラルート・ソンス(15)
[場所:昇降口前]
[吹雪]:「ふう。さっぱりした」
夜の練習と、探索での疲労をシャワーで流し、ちょっと気分転換に外に出てみた。普通に外の気温は寒いんだろうが、シャワーの後だからそこまで寒さを感じない。こうして夜風に当たっているだけでも今日の出来事が頭に浮かんでくる。個人的には、結構予想外の結末だった。個人的には四季のピアノもストーンサークルも生み出したのは同じ人物だと思っていたんだが、神殿とストーンサークルは島民の案で完成したとは思わなかった。だけど、言われてみれば当然の判断か、四季を司る大事な物を野ざらしにしておいていいとは思えないだろうからな。壊れてしまったら、また同じような惨劇を生みかねない。そう考えると、今俺たちがこうして難なく暮せているのも昔の島民が完成させたおかげなのかもしれない。
……物事というのは、ある意味奇跡の連鎖で出来ているのかもしれない。俺がこうして生きているのだって、言ってみればある種の奇跡なんだろう。
[カホラ]:「あ、見つけた」
[吹雪]:「ん?」
振り返った先にいたのは、俺の大好きな人だった。
[カホラ]:「どうしたの? こんなところで? 寒くないの?」
[吹雪]:「うん、シャワー浴びたばっかりだし、ちょっと体が熱いからさ。そういうカホラも、少し熱そうだけど」
[カホラ]:「吹雪の前にシャワー浴びてたのは私だからね、ちょっと余熱があるみたい。一人で何か考えてたの?」
[吹雪]:「いや、たいしたことじゃないよ」
[カホラ]:「ふふ、四季のピアノの歴史についてでしょう?」
[吹雪]:「……どうして分かった? 何て言う必要もないか」
[カホラ]:「むしろ考えてなかったら逆にびっくりしてたわ」
[吹雪]:「はは、そうだろうね。しばらくは忘れられそうにないよ」
[カホラ]:「私も。というか、これから生きていく人生の間、今日のこの日は忘れられないと思う。この数日間の思い出は、私の大切な宝物だから」
[吹雪]:「俺もそうだよ、きっといくつになっても今日のことは鮮明に覚えてられる自信がある」
[カホラ]:「ふふ、大きく出たわね」
[吹雪]:「嘘は言ってないよ? ちゃんと本心から言ってる」
それだけ、俺にとって印象深い日々だったんだから。