カホラルート・ソンス(14)
[吹雪]:「……あったね」
[カホラ]:「うん、ピアリーの名前に間違いないわ。でさ、この下に書かれてる名前って……ひょっとしてピアリーの彼女さんじゃないかしら?」
P・ネレスという文字の下に、もう一つ名前のような文字が刻まれているのが見える。
[カホラ]:「オルシア……でいいのかしら? スペルはそう見えるんだけど」
[吹雪]:「一人でここに来ることは不可能だし、ピアリーのあの文章からしてここに一緒にきた人って言ったら、彼女しか考えられないよね」
[カホラ]:「そうよね。ここにきて、もう一つ発見したわね。偉大な学者、ピアリーを支えた人物、オルシア」
[吹雪]:「恥ずかしかったのかな? 自分の名前を出すのが」
[カホラ]:「それか、ピアリーが独占欲が強かった、とか?」
[吹雪]:「元々拘りがなかったってことも考えられるね」
[カホラ]:「個人的な趣味、とかだったら、そうかもしれないわね」
[吹雪]:「何にしても、彼らのおかげで、俺たちはここまで来ることができたんだよね」
[カホラ]:「本当に、二人に感謝しないとね」
[吹雪]:「――ありがとう、ピアリーさん」
[カホラ]:「――ありがとう、オルシアさん」
俺たちはその刻まれた文字に深く頭を下げた。
[カホラ]:「ねえ、私たちもここに名前を刻みましょうよ」
[吹雪]:「え? いいのかな?」
[カホラ]:「いいでしょう? せっかくじゃない、大事な思い出なんだから……一生忘れることのないね」
[吹雪]:「……うん、それもそうだね」
二人で、数々の困難を潜り抜けてきたその証を、俺たちはその場所に刻んだ。もし、次にここに来るものがいたとするなら、俺たちのように、力を合わせてやってきたものであると願いたい。
――こうして、俺たちの四季のピアノの探索は一先ず終わりを迎えた。今まで支えてもらった人たちには、その事実を伝えた。
学園長、それから手伝ってくれた舞羽や祐喜たち、みんな口を揃えておめでとうと言ってくれた。学園長は、近々カホラが自筆でまとめた資料を読んで内容を把握すると言っていた。そう言った学園長の顔は、すごく読むのを楽しみにしているようだった。
終わりを迎えた、でも、まだやるべきことは残っている。この島を救ってくれたピアノを使って、今度は俺たちが来年のこの島を救ってやるんだ。今の俺たちは、これを成功させることに使命を燃やしている。