カホラルート・ソンス(11)
[場所:扉の中の部屋]
[カホラ]:「ん……はあ、よかった」
どうやら心配は杞憂に終わったようだ。眩しい光が収まると、そこは今まで見たものと同じ作りの空間になっていた。
しかし、他の場所とは違うものが存在していた。それは――。
[カホラ]:「吹雪、あれって」
[吹雪]:「……間違いないね、何か、文字が記されてる」
俺たちが知っているものとは違う、古代文字のようなもの。種類的には、ストーンサークルに一文字だけ刻まれていたものと似ている。
[カホラ]:「これも、ハルモニア語なのかしら?」
[吹雪]:「以前の資料、持ってきてるよね?」
[カホラ]:「ええ、見てみなくちゃ」
カホラは胸ポケットからハルモニア語についてのメモを取り出し、記された文字と照らし合わせる。
[吹雪]:「どう?」
[カホラ]:「多分、これはハルモニア語で間違いないわ。資料と見比べても、文字の作りが完全に一致してる」
カホラの資料を借りて、俺も実物と見比べてみる。
[吹雪]:「確かに、同じだね」
[カホラ]:「これがピアリーの言っていた、四季のピアノの歴史なのね」
本物を目の前にカホラは感慨深げにそうつぶやく。
[カホラ]:「これを知りたくて、私は今まで頑張ってきた。その努力が、全て報われるのね」
[吹雪]:「おめでとう、カホラ」
[カホラ]:「ありがと、吹雪。ここまで来れたのは、本当に吹雪のおかげよ、感謝してもしきれないわ」
[吹雪]:「何度も言ってるけど、俺は自分の意思でカホラの力になりたいと思ったんだ。感謝したいのは、俺も一緒だよ」
[カホラ]:「じゃあ、おあいこってことね」
[吹雪]:「そういうこと」
[カホラ]:「……歴史は最後にとっておきましょう。まずはストーンサークルの調査から済ませちゃって」
[吹雪]:「うん、分かった」
気持ちが高揚しているが、気を抜かずに、間違わないように情報を映していく。
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