カホラルート・ソンス(9)
[カホラ]:「――これよね、きっと」
[吹雪]:「うん、多分そのはず」
俺たちは、森の中にある2本の木の前に立っていた。一見何の変哲もないように見えるが、よーく目を凝らしてみると一部分だけ色が薄くなっている場所があるんだ、ちょうど手をかざせるくらいの大きさの。ここに、俺とカホラの手をかざすと、手から魔力を感じ取り、道が開かれるらしい。
[吹雪]:「最後に訪れるに相応しいような入り方だね」
[カホラ]:「そうね、以前のように一人で調査していたら、絶対に辿り着けなかったわ。入口を見つけられたとしても、開けられないんだから」
[吹雪]:「……こういう仕掛けを見ちゃうと、どうしてもさっき思ったことが本当なんじゃないかって気になってくるね」
[カホラ]:「さっき、私はないんじゃないかって思ったけど、段々考えが吹雪よりになってきてるわ。それはそれで良いことだと思うんだけどね」
勝手に想像を膨らませる俺たち。実際のところは、二人でしか開けられないから侵入者が入りづらい、とかだと思うんだが。
[カホラ]:「……ちょっと緊張してきたわ」
[吹雪]:「俺も」
おそらく大丈夫だとは思うんだが。
[カホラ]:「きっと開くわよね?」
[吹雪]:「きっとね、俺たちの仲なんだから」
[カホラ]:「信じましょう」
俺たちは顔を見合わせて、同時にうなずいた。
[カホラ]:「じゃあ、一緒に手を置きましょう」
[吹雪]:「うん、分かった」
[カホラ]:「――せーの」
掛け声と同時に、俺たちは木のポイントに手をかざした。すると――。
[カホラ]:「っ!? こ、このままのほうがいいかしら?」
[吹雪]:「そうだね、もう少し見届けよう」
手をかざすと同時に周囲から光が漏れだした。おそらく仕掛けが動き出したんだろう。その証拠に――。
[吹雪]:「カホラ、あれ」
[カホラ]:「あ、入口かしら?」
[吹雪]:「そうじゃないかな」
光の中に、扉のようなものが浮き上がってきている。光が弱まるのに比例して、その存在は大きくなっていく。
…………。