カホラルート・ソンス(8)
[場所:月影のピアノ近辺]
[セフィル]:「――いよいよ、最後のストーンサークルだな。ここまでやってこれたのは、二人の努力の賜物だろう。よく頑張ったと思うぞ」
[カホラ]:「……何だか裏がありそうな言葉だけど、素直に受け取っておきましょうか」
[セフィル]:「何故母親の賛辞を素直に受け取ってくれない?」
[カホラ]:「ビスケットのこと、実は根に持ってたりするんじゃないかと思って」
[セフィル]:「べ、別にそんなことは……自分のお金で買えさえすれば困るものじゃないからな。まあ、金があっても買いに行く時間がないんだが」
[カホラ]:「やっぱりちょっと思ってるんじゃない」
[セフィル]:「そ、それとはこれとは別だろう? ビスケットの件とストーンサークルの調査は別問題だ。受け取ってくれよ」
[カホラ]:「……ふふ、冗談よ、お母さん。私たち、本当にお母さんには感謝してるわ」
[セフィル]:「そ、そうなのか?」
[カホラ]:「そうよ、お母さんがストーンサークルの手掛かりをくれなかったら、私たちはここまで辿り着けなかったと思うし、送迎の分で探索時間も大目に取ることができた。お母さんの助力があったから、ここまで来ることができたんだよ」
[吹雪]:「学園長から受けた恩は、一生忘れないです」
[セフィル]:「……何だろう、急に泣きそうな気分になってきたぞ。ぞんざいな扱いから一変したせいなのか?」
[カホラ]:「今言った言葉は、全て事実だから。ね? 吹雪」
[吹雪]:「もちろん、本心から思ってます」
[セフィル]:「う、嬉しいじゃないか、そんなことを言われたら……涙を隠すために私は早めにここを去るとしよう、じゃあ、また後で迎えに来るからな」
[カホラ]:「うん、よろしくね」
[セフィル]:「最後まで、しっかりやるんだぞ」
いつもの学園長とは違う一面を見た気がした。
[吹雪]:「ひどいこと言われても、カホラのことはかわいくて仕方がないんだろうね」
[カホラ]:「ひどいことを言った覚えはないわよ? ただ現実逃避をさせないようにしてるだけで」
[吹雪]:「学園長からしたら、それはひどいことなのかもしれないよ」
[カホラ]:「それは……そうかもしれないね」
[吹雪]:「これが終わったら、ビスケットの袋買ってあげようぜ。今まで手伝ってくれたお礼として」
[カホラ]:「そうね、それが一番お母さんにとって嬉しいだろうし」
学園長=ビスケットのような図が出来上がってしまいそうだ。
[カホラ]:「――じゃあ、そろそろ行きましょうか」
[吹雪]:「うん、最後の調査に」
行く場所は、ピアリーのメモで確認している。ここから東にある森の中だ。
…………。