カホラルート・ソンス(2)
[場所:グランド]
[セフィル]:「――よし、いよいよ明日が本番だ。魔力の低下を防ぐため、今日は軽めに抑えておこう。リラックスを念頭において進めていくぞ」
[吹雪]:「はい!」
[セフィル]:「お? 何だか気合いが入っているようだな」
[吹雪]:「もちろんです、明日が本番なんですから、気合い入れて望まないとピアノに申し訳がないです」
[セフィル]:「……てっきりピアノの歴史ばかり気になって練習がオザナリになるかもと思ってたんだが、どうやら杞憂に終わりそうだな。吹雪に限ってそんなことあるわけないか」
[吹雪]:「それは確かに気になりますけど、逃げていくわけではないと思うので、むしろ歴史を知らせてもらうわけですから、それなりの態度というものを見てもらいたいですし」
[セフィル]:「今私は、すごい感動を覚えた。うん、それでこそハーモニクサーだ」
[吹雪]:「あはは、ありがとうございます」
[セフィル]:「いつでも沢渡の家に来ていいからな? 私は吹雪の母になる気に満ちているぞ」
[吹雪]:「え? それは、かなり先の話じゃあ……」
[セフィル]:「でも、そんな風に考えたことはあるだろう? 付き合っているわけだから」
[吹雪]:「……ないとは言わないですけど、まだ学生だし、そういうプランはまだ」
カホラからそういう話を聞いたこともないしな。
[セフィル]:「しかし、吹雪の家の両親は世直しで家を離れているわけだ。普通に考えれば、沢渡家に吹雪が養子に来るのがいいと思うんだが」
[吹雪]:「ど、どうして学園長がそこまでお考えに?」
[セフィル]:「それはもちろん……ふっふっふ」
[吹雪]:「怖いです、その笑い方」
[セフィル]:「まあ、あまり気にしなくていいさ。気長に待っているぞ、学園長しながら」
[吹雪]:「と、とにかく練習しましょう。本番に備えなくちゃ」
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