カホラルート・アモロサメンテ(7)
[舞羽]:「じ、自然薯だよね? きっと」
[吹雪]:「自然薯? あれだよな、天然の山芋のことだよな」
[祐喜]:「……確かに自然薯だね、これは。結構長いし、山芋独特の匂いもする」
[舞羽]:「どうしてそれを愛海が持ってるの?」
[愛海]:「探索して、向こうのポイントが終わったから場所を変えようって思ってた時に何か地面から飛び出してるの見つけて、ちょっと掘って引っ張ってみたら引っこ抜けたの」
[吹雪]:「……普通自然薯って引っこ抜けるものじゃないよな」
[愛海]:「でも、抜けたわよ、ちゃんと。きっと私の掘り方がよかったのね」
[吹雪]:「自画自賛かよ。……ということは、さっき遅れてやってきたのはそれを掘ってたからなのか?」
[愛海]:「あはは、……そんな時間はかけてないわよ」
[吹雪]:「お前って奴は……まあいい。本当なら今日中にあの一帯は終わらなかったかもしれないから大目にみよう。というか、それ、舞羽に分けてやってくれないか? 目の輝きがちょっとおかしい」
[愛海]:「え? あ……」
[舞羽]:「いーなー、自然薯。調理してみたいなー」
料理人として、自然薯はかなりポイントの高い食材なのかもしれない。こんなに目をキラキラさせている舞羽を見るのは、子供の時以来かもしれない。
[舞羽]:「いーなー」
[愛海]:「い、いいわよ舞羽。私、そこまで自然薯に興味ないから、あげるわ」
[舞羽]:「え? い、いいの?」
[愛海]:「ええ、美味しく調理してみんなに食べさせてあげて」
[舞羽]:「やったー! ありがとう愛海!」
[愛海]:「自然薯のおかげで、久々に舞羽に感謝されたわ」
[吹雪]:「普段のお前って一体何なんだよ」
[愛海]:「親友よ、親友」
[舞羽]:「ふふ、自然薯、自然薯♪」
すっかり自然薯の虜になってしまったようだ。今日の料理当番を変わってほしいって杠に報告しておいたほうがよさそうだ。
[吹雪]:「じゃあ明日の予定が決まったらまた連絡するよ。今から迎えを呼ぶから」
――明日は、何か発見があるといいな。
――そして帰路に着くと同時に舞羽は家庭科室に向かい、楽しそうに調理を始めた。そんな夕食は山芋料理のオンパレードで、俺たちは想定外の食材で腹を満たした。