カホラルート・アモロサメンテ(4)
そんな経緯があって、俺たちはここにやってきた。ちなみに送迎は学園長、カホラが以前と同じ手を使って話をつけてくれた。
[吹雪]:「感謝するぜ、二人とも」
[祐喜]:「気にしなくていいよ、友達だろう? 僕たちは」
[舞羽]:「そうだよ、良くしてもらったカホラ先輩に、恩返しをしたいと思ってたし」
[愛海]:「そうそう、どんどん私たちに頼りなさい」
[吹雪]:「……何で日野がここにいるんだ?」
[愛海]:「さっきもそれ聞かなかったっけ? 大久保くん」
[吹雪]:「今一度確認しておこうと思ってな、俺、お前を探索には誘ってなかったよな」
[愛海]:「そうよ、私と大久保くんの仲にも関わらず、私にだけ召集がかからなかった」
[吹雪]:「いや、翔にもかけてないから日野だけではないぞ」
[愛海]:「どっちだって一緒よ、どうして誘ってくれなかったのよ~」
[吹雪]:「……理由など言わなくても」
[愛海]:「随分ストレートね……心にヒビが入りそう」(
[舞羽]:「ごめんね、吹雪くん。ちょうど電話がかかった時、愛海と一緒にいたから」
[吹雪]:「ああ、舞羽は気にしなくていいんだ。むしろ迷惑かけてごめんな、ピアノの練習して夜に備えて休みたいだろうに」
[舞羽]:「いいんだよ、ただじっとしてるだけより、こっちのほうが健康的だから」
[吹雪]:「助かるぜ、本当に」
[愛海]:「……あの、大久保くん、私の話は?」
[吹雪]:「ああ、そうだったな」
[愛海]:「ナチュラルに忘れられるところだったわ……」
[吹雪]:「正直、人手は多いほうが助かる。日野が良いのであれば、俺も力を貸してほしい。――がだ」
[愛海]:「が?」
[吹雪]:「このことを、年明け早々みんなに言い触らしたりするのであれば、即刻お帰り願うぞ。言い触らしたりしないことを約束してくれれば、俺は喜んで日野の手をかりたい」
[愛海]:「大久保くん、私がそんなことをすると思うの?」
[吹雪]:「思わなければ忠告しないし、最初から探索に召集かけてる」
[愛海]:「信頼ないのね、私……」
[舞羽]:「日頃が、日頃だからね……」
[愛海]:「親友にすらそんな激苦の一言……くう、今年最後の大打撃ね」
[吹雪]:「で? どうするんだ? 日野」
[愛海]:「決まってるでしょう? 是非、私にも手伝わせて。二人には色々お世話になってるし、役に立ちたいって思ってたから。それに、冬休みに入ってから暇で暇で仕方なかったの。これはその流れを断ち切るのににとても適したイベントだわ」
[吹雪]:「俺の忠告は飲んでくれるんだろうな?」
[愛海]:「もちろんよ、守ることはちゃんと守るから安心して」
[吹雪]:「信じるからな、その言葉を」
[愛海]:「ええ、信じて」
[吹雪]:「ならよし、じゃあ三人とも、今日はよろしく頼む」
[三人]:「オーっ!」
[吹雪]:「さっき説明したけど、普通に探して見つかる場所じゃないから、自分が思う限界まで可能性を広げて探してくれ。何か気になることがあったらすぐに知らせてくれ。それじゃあ、探索開始ー」
[愛海]:「わー」
[吹雪]:「日野、お遊戯会じゃないんだからな」
[愛海]:「心配なし、ちゃーんと探すわー」
あいつは相変わらずだな、まあ変わってたら逆に驚くけど。
さて、俺は――そういえば、神殿のほうはまだ見てなかったな。何もないかもしれないが、一応見てみるか。
俺は踵を返して神殿に向かう。