カホラルート・アモロサメンテ(2)
[カホラ]:「結局見つからなかったか」
[吹雪]:「何度も言ってるけど、しょうがないことだよ」
[カホラ]:「そうなんだけどね、でも、ちょっとヘコんじゃうわ」
気持ちは分かる、探しても見つからないってことは、努力が報われてないということだから。今日は歩いてきたから、帰りも歩きだ。歩く速度を合わせて二人寄り添って歩く。
[カホラ]:「切り替えてかないと」
[吹雪]:「うん、そうそう」
元気を出させるために、肩をポンポンと叩く。
[カホラ]:「ふふ、ありがと吹雪。――私、最近目標ができたの」
[吹雪]:「目標?」
[カホラ]:「うん、この探索に関してなんだけど」
[吹雪]:「うん」
[カホラ]:「できれば、今年が終わるまでに完成させたいなって思うの」
[吹雪]:「今年が終わるまでって……後4日しかないけど」
[カホラ]:「ええ、そうね」
[吹雪]:「……こんなこと言っていいのか分からないけど、かなり難しいんじゃないか? それは」
[カホラ]:「確かにそうかも。でも、今年が終われば、吹雪はまた普通の学園生活に戻るでしょう? 授業も朝から夕方まで、思うように時間も取れなくなる。一緒に探すことができなくなっちゃうじゃない」
[吹雪]:「予定を空けさえすれば、それくらい」
[カホラ]:「無理はしちゃダメよ、学生の本分は勉強、私のは趣味の延長線だから、優先されるべきは学校のことでしょう」
正論だから、何も言い返せない。
[カホラ]:「でも、ここまで調査を進めることができたのは、吹雪が一緒に付き合ってくれたおかげ、だから、最後に分かる結果も、吹雪と一緒に見れたらって思うの。この調査を通して、私は吹雪と一緒になれたから、今でも十分忘れられない思い出だけど、どうせならもっともっと大切な日々にしたいから」
[吹雪]:「……そこまで言ってもらって、無理だよ、何て言えないね。だとしたら、俺も頑張らないと」
[カホラ]:「ふふ、やっぱり目標を持つって大事ね。モチベーションにかなりの違いがでるわ」
[吹雪]:「俺も、漠然とした目標よりも、目の前に迫ってる目標があるほうが燃えるよ」
[カホラ]:「ふふ、本当に、吹雪の目、ギラギラ光ってるわ」
[吹雪]:「当たり前だよ、好きな人があんなことを言ってくれたんだ。頑張れないわけがないよ」
俺たちが燃え上がったとしても、隠されたストーンサークルが見つけやすくなるわけじゃない。だけど、信じて続ければ結果が出ることはすでに実証積みだ。今回だって一緒だ、成果が出るまで、あきらめないで続ける、これが、一番大事なこと。
[吹雪]:「カホラの目標達成は、俺の目標達成でもある。今年最後、大きな目標をクリアしよう」
[カホラ]:「うん、そうね。……ピアノの練習もこの勢いでやらないと」
[吹雪]:「その勢いを見せたら、ピアノが何かヒントを教えてくれるかもしれないよ」
[カホラ]:「あはは、そうね、今度聞いてみようかしら」
――太陽の傾きかけた帰り道、俺たちの今年最後の目標が決まった。期限まで後4日、4日だけと考えるか、4日も、と考えるか、もちろん後者に決まってる。全力を尽くすことを、俺は固く誓った。