カホラルート・アマービレ(8)
12月26日(日曜日)
[場所:社会科室]
[吹雪]:「お疲れさまです、先輩」
[カホラ]:「お疲れさま」
練習を終え、一旦社会科教室に戻ると、約束通り先輩の姿があった。
[カホラ]:「シャワーを浴びてきたの?」
[吹雪]:「はい、ちょっとたくさん汗をかいたので……分かりましたか?」
[カホラ]:「ええ、湯上がりだから、ちょっと色っぽくなってるから」
[吹雪]:「色っぽいって……男で色っぽさはいらないんじゃないですか?」
[カホラ]:「そんなことないわよ、男でも色っぽさは大事よ? 女の子を誘い出すことができるんだから」
[吹雪]:「……俺は先輩しか興味ないから、それだったら色っぽさはいりません」
[カホラ]:「じゃあ、私だけを誘うような色っぽさを出してちょうだい」
[吹雪]:「自信はないけど、頑張ります」
何だか、今の俺たちはすっかりバカップル状態な気がする。でも、やめることができないのは、バカップルマジックなんだろう。
[吹雪]:「それで、今日はどうしましょうか?」
[カホラ]:「ええ、吹雪が戻ってくる間に、そのことについて考えてたんだけど、やっぱり今日は、実際に調査に行ってみようと思うの。情報を探すのも大事だけど、実際に探索することで何か手がかりが見つかるかもしれないし、それで見つからなかったら、まだ読んでない資料を探してみることにしましょう」
[吹雪]:「そうですね、俺も同じようなこと考えてました」
以前とは違い、本の中で探索するよりも現場で探索したほうが効率はいいはずだ。
[吹雪]:「今まで色んな発見をしてきた俺たちなら、ひょっとしたら見つかるかも分かりませんし」
[カホラ]:「その可能性に賭けてみましょうか」
[吹雪]:「そうしましょう」
[カホラ]:「じゃあ行きましょうか」
[吹雪]:「今日は、歩いて行くんですか?」
[カホラ]:「ううん、今日もお母さんに連れていってもらうわ」
[吹雪]:「いいんですか? 学園長も仕事があるんじゃ」
[カホラ]:「心配ないわ、今回は秘策があるから」
[吹雪]:「秘策?」
…………。