カホラルート・アマービレ(4)
[場所:社会科室]
途中でジュースを買って、寝床に戻った。その直後――。
[繭子]:「あ、カップルが帰ってきた~」
[吹雪]:「なっ――!?」
そのようなことを言われ、俺は狼狽えてしまう。
[繭子]:「お帰り~、二人とも」
[カホラ]:「た、ただいま帰りました」
[繭子]:「どこ行っていたの~? デート? デートしてたの?」
[吹雪]:「ちょ、ちょっと待て。マユ姉、一体どうしてそのことを?」
[繭子]:「え? そのことって~?」
[吹雪]:「俺たちが、カップルだということだ」
[繭子]:「……んふふ、今言ったね? はっきりと~」
[吹雪]:「何? ――まさか、マユ姉」
[繭子]:「えへへ~だまされたね~、ふーちゃん」
このチビ介、カマをかけやがったか。
[繭子]:「みんな聞いた~? この二人、めでたくカップルになったんだって~」
真実を掴んだマユ姉が、部屋にいるみんなに大々的に報じやがった。
[繭子]:「どっちから想いを伝えたの~?」
[吹雪]:「――とりあえず、ちょっと黙ってろ、マユ姉」
一人テンション高く話を進めようとするマユ姉の頭に、俺は力強くチョップした。
[繭子]:「――きゅう」
[カホラ]:「だ、大丈夫なの? 吹雪」
[吹雪]:「問題ないです、しばらくすると起きてくると思いますので。――それにしても」
どうして、マユ姉に俺たちが付き合ってるというような噂が立ったんだ? つい昨日からそういう関係になったというのに、情報の流れが早すぎる。
[吹雪]:「――ひょっとして、フェルシア先生?」
先輩がそう言うと、フェルシア先生はすまなそうに手を合わせ、頭を下げた。
[フェルシア]:「ごめんなさい、告げ口するつもりは全くなかったんだけど、どうなのって迫られちゃって」
あまりの言われように、真実を告げる以外に方法がなかったってことか。
[フェルシア]:「悪かったわ、二人とも」
[カホラ]:「まあ、どうせいつかバレることだから、しょうがないですね」
意外と、先輩はサバサバしていた。