アニマート(7)
攻略対象は、選出された4人のピアニストになります。
[場所:グランド]
[繭子]:「はいはーい。みんな並んでー」
マユ姉の声がけで一列に並ばされる。さて、いよいよか。空は完全に暮れ、星と月が煌めいている。
[吹雪]:「誰が選ばれるんだろうな」
[舞羽]:「そうだね、何だか緊張してきちゃうね」
横にいた舞羽がそう答える。
[吹雪]:「頑張れよ、舞羽」
[舞羽]:「もお、吹雪くん最近そればっかりー」
[吹雪]:「期待してるんだよ」
[舞羽]:「もお」
それにしても、みんなやっぱりどこか緊張の面もちをしているな。この島の明暗を分けるものだからだろう。
[教頭先生]:「はい、聞いてください。知ってるとは思いますが、一応説明をします」
教頭が手短に説明を開始する。
流れとしては、学園長が月に向かって祈りを込める。その祈りと、この島にあるピアノが同調すると、月の光が、ピアニストを選出するんだ。ハーモニクサーもまた然り。月の光に照らされたものが、ハーモニクサーに決定される。一体誰がなるのか? その問いの答えがもうすぐ分かる。
[教頭先生]:「では、学園長、お願いします」
[セフィル]:「…………」
学園長が、壇上に上がる。溢れ出る威厳は、学園長と呼ぶにふさわしい。
[教頭先生]:「生徒は静かにするように。学園長の集中を途切れさせないようにしましょう」
その言葉に俺たちは口を閉じる。生徒と教師が、答えを待つ。
「…………」
[セフィル]:「――エル・エルファンドリウス、フリアディス。月の光よ、そして四季のピアノ。桜花のピアノ、海風のピアノ、紅葉のピアノ、風花のピアノよ、我らハルモニアの意志を継ぐものを、今ここに選ばん。我らに道を示したれ!」
校長が両手を広げると、一筋の光が月に向かって飛んでいった。
――キーン。
――キーン。
――キーン。
――キーン。
俺たちの前から光が消える。しかし、すぐに明るくなり、選ばれた者を月の光が照らしていく。
……………………。
…………。
……。
[舞羽]:「あっ!?」
[繭子]:「あれれ~?」
[聖奈美]:「…………」
[カホラ]:「え、本当に!?」
「月の光よ。ハルモニアの意志を継ぐもの、ハーモニクサーを今ここに選ばん。我らに道を示したまえ!」
一筋の光はまた空へ向かっていく。
――キーン。
――キーン。
――キーン。
――キーン。
月から、光が降りてくる。照らし出したのは――。
[吹雪]:「お、俺かよ!?」
周りを見渡しても他に照らされてる人はいない。じゃあ、今年は俺がハーモニクサーをするってことなのか?
[舞羽]:「ふ、吹雪くん」
[吹雪]:「ああ」
こりゃあ、ちょっとびっくりだぜ。