カホラルート・ピウ(13)
[カホラ]:「でも、一つだけ、吹雪にお願いがあるんだけど、いいかしら?」
[吹雪]:「俺が叶えられるならなんでもします」
[カホラ]:「本当? じゃあさ――キス、してほしい」
[吹雪]:「き、キスですか?」
[カホラ]:「ええ。私たちは今、付き合ってるんだし、カップルならそれくらい普通でしょう? それに、疑ってるわけじゃないけど、吹雪が私を好きっていう気持ちを私自身で確かめたいの。ダメ、かしら?」
[吹雪]:「……全然、ダメじゃないです」
[カホラ]:「ほ、本当?」
[吹雪]:「こんなこと言うのは失礼かもしれないけど、メチャクチャかわいいです、今の発言」
[カホラ]:「そ、そんなことないわよ」
[吹雪]:「そういうのは自分では分からないものです。嘘はついてません」
[カホラ]:「じゃ、じゃあお願いできる?」
[吹雪]:「もちろん、喜んで」
[カホラ]:「ど、どうするといいのかしら?」
[吹雪]:「とりあえず、近づきましょうか?」
[カホラ]:「そうね」
向かい合い、体の間隔を一気に0に近づけた。先輩は、必然的に俺の顔を見上げる形になる。
[カホラ]:「やっぱり、先輩は美人ですね」
[吹雪]:「さっきから褒めすぎじゃない? 吹雪」
[吹雪]:「何だか、気持ちが吹っ切れたみたいです。言っても言っても言い足りなくなってる自分がいます」
[カホラ]:「まあ、吹雪に言われるのは嬉しいんだけど」
[吹雪]:「先輩が俺の彼女なんて、今さらだけどすごい幸せです」
[カホラ]:「それは私も同じよ。吹雪が彼氏になってくれて、幸せ」
俺たちは、自然と手を握り合っていた。
先輩の手は、とてもすんなりと俺の指の間に収まった。