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カホラルート・ピウ(9)
[場所:屋上]
屋上は開いていた。まだ閉められてはいなかったらしい。
俺たち以外にも、人はいないようだ。おまけに――。
[カホラ]:「あ、降ってるわね」
[吹雪]:「本当だ」
空からチラチラと雪が舞っていた。正にホワイトクリスマスだ。
[カホラ]:「綺麗……」
[吹雪]:「はい、そうですね」
先輩のほうが綺麗、などいう言葉が頭に浮かんだが、そんな言葉を言うことはできない。その前に、言わなければいけないことがある。
[吹雪]:「先輩、いいですか?」
[カホラ]:「ええ、話だったわよね」
先輩は俺のほうに向き直った。
[カホラ]:「お説教とかは、勘弁してほしいんだけど」
[吹雪]:「そ、そんな話をする気はないです。というか、先輩にお説教するところなんてありません」
[カホラ]:「あ、本当?」
[吹雪]:「そういう話じゃなくて……その、お願いといいますか。俺の願望っていいますか。と、とにかく、今から話します」
[カホラ]:「え、ええ」
[吹雪]:「スーハースーハー……」
深呼吸して精神を落ち着かせる。したところで落ち着かないとは思うが、気休めだ。さあ、いよいよだ。