カホラルート・ピウ(7)
――舞羽のクリスマスディナーを美味しくいただいて、夜の練習。俺は迷うことなく先輩の練習場所に向かう。
[場所:第四音楽室]
[吹雪]:「失礼します」
[カホラ]:「はーい、どうぞ」
中に入ると、先輩と学園長がすでにピアノの前に座っていた。
[カホラ]:「いらっしゃい、吹雪」
[吹雪]:「お邪魔します、先輩」
[カホラ]:「今日もよろしくね」
[吹雪]:「こちらこそ、ベストを尽くしますね」
[カホラ]:「うん、よろしく」
[セフィル]:「…………ん~」
[カホラ]:「どうしたの? お母さん」
[セフィル]:「いや、何というか、私はここにいてもいいのか?」
[カホラ]:「どうしてよ?」
[セフィル]:「何だか二人だけのほうが楽しそうな雰囲気が体からにじみ出ている」
[カホラ]:「にじみ出ているって……表現の仕方がおかしくない?」
[セフィル]:「概ねあっていると思うが」
[カホラ]:「あってるんだ……」
[セフィル]:「どうなんだ? 私はお邪魔か?」
[カホラ]:「出ていく必要なんてないわよ。これからするのはトークじゃなくて練習なんだから、お母さんがいなかったら話が進まないわ」
[セフィル]:「そうか、よかった……」
[カホラ]:「何がそんなに不安だったのよ」
[セフィル]:「とけ込むことができないような不安があった」
[カホラ]:「あなた私のお母さんでしょう? 仲間外れになんてしないわよ」
[セフィル]:「カホラ……ありがとう」
[カホラ]:「そんな感動の場面じゃないって」
[セフィル]:「そうだったな、よし、練習を始めよう。今日はせっかくのクリスマスだから、少し早めに切り上げる予定だ。それまで精一杯頑張ってくれ」
[カホラ]:「いいの? 今日でちょうど一週間前よ? 今日からラストスパートをかけたほうが」
[セフィル]:「ラストスパートをかける前には息抜きが必要だろう? 今のうちに力を貯めておかないと、途中で失速してしまうかもしれないからな。そのための対策だ。それに、カホラも含めて、4人のピアノはかなり上達してきているから、そこまで焦る必要もないさ」
[カホラ]:「私自身は、まだ改善の余地がある気がするんだけど」
[セフィル]:「いいから、いいから。さあ、今日の練習を始めよう」
[カホラ]:「よろしくお願いします」
[吹雪]:「よろしくお願いします」
……………………。