カホラルート・ピウ(5)
[図書室の先生]:「お待たせしてごめんなさいね」
[吹雪]:「いえ、大丈夫です。それで、何か分かりましたか?」
[図書室の先生]:「一応、完璧にそうだとは言えないけど、おそらく合っていると思うわ」
そう言うと、先生は重そうな辞書をその場で開いた。
[図書室の先生]:「おそらく、沢渡さんが見つけたその記号は、ずっと昔に先人たちの間で使われていた数字だと思うわ」
[カホラ]:「数字ですか」
[図書室の先生]:「そんな予感はしてた? 沢渡さんも」
[カホラ]:「そうですね、一文字しか記されていないところから、これが文章には成り得ないと思いましたから」
[図書室の先生]:「その見解は正しいわね。間違いのないようにいくつかの文字を調べたんだけど、字の形からしてこれが一番しっくりくると思うの。これなんだけど」
俺たちは指で示された文字を見てみる。
[カホラ]:「……本当だ、字のタッチが全体的に丸みを帯びてて特徴的だわ」
[図書室の先生]:「本当の名称が分からないから、私たちはこの学園の名前からとってハルモニア語って呼んでいるの」
[カホラ]:「ハルモニア語、初めて耳にした言葉です」
[図書室の先生]:「この島唯一、そしてずっと昔の言語だから、かなりレアレティの高い言語だと思うから、知らなくて当然よ」
[カホラ]:「これからは覚えておきます。それで、私たちが持ってきたその記号は、どの数字を表すものなんですか?」
[図書室の先生]:「この記号は、数字の『1』を表してると思う。そしてこっちは、数字の『4』を表しているわ」
[カホラ]:「1と4……」
[吹雪]:「1と4……」
[図書室の先生]:「これが、参考にしたページなんだけど見てみるといいわ」
先輩は右手に自分のメモを持って照らし合わせる。
[カホラ]:「本当だ、すごくそっくり……」
[図書室の先生]:「確信はないけど、可能性としてはそれが一番有力だと思うわ。他の言語も見てみたけど、どれも違うものばっかりだったから」
[カホラ]:「そうですか。これ以外に、そのハルモニア語で記された文字のようなものはありませんでしたか?」
[図書室の先生]:「そうね、沢渡さんの資料は全て目を通したけど、ハルモニア語が記されていたのはその二つだけだったわ」
[カホラ]:「そうですか」
[図書室の先生]:「よかったら、このページをコピーしてあげるわよ?」
[カホラ]:「すみません、お願いします」
[図書室の先生]:「はい。ちょっと待ってね」
[カホラ]:「…………」
[吹雪]:「…………」
先生のコピーが終わる間、俺たちは顔を見合わせていた。