カホラルート・ピウ(3)
[吹雪]:「――というわけなんだ」
[愛海]:「そうなんだ、だから最近よくカホラさんと一緒にいるのね」
[吹雪]:「ど、どうして一緒にいたって知ってるんだ」
[愛海]:「図書室に本を返しに行った時、たまたま発見したのを見たから。あの時はどうしてか分からなかったけど、こういうことだったのね。一つ謎が解けたわ」
[吹雪]:「人に言いふらすなよ?」
[愛海]:「大丈夫だってー、そんなに信用ないの? 私」
[吹雪]:「……自分の胸に手を当てて聞いてみろ」
[祐喜]:「それで? 進展はあったのかい?」
[吹雪]:「ああ、あんまり大きい声では言えないが、四季のピアノを守っているストーンサークルを見に行くことができた」
[祐喜]:「へー、すごいじゃない? どんな感じだったの?」
[吹雪]:「さすがって感じだった。四季のピアノを守るに相応しい作りだった」
[祐喜]:「羨ましいなー、僕も見てみたいよ」
[吹雪]:「残念ながら、これ以上教えるわけにはいかないな。見たいのなら、自分の力で探してくれ」
[祐喜]:「じゃあ、あの日からかなりの進展があったんだね」
[吹雪]:「とは言っても、まだ半分くらいだと思う。ここからが正念場だろうな、今までは資料があったから助かっていたけど、ここからはあまり有力な情報もない。根気が必要になってくるはずだ。今日からは、情報探しがメインだ」
[愛海]:「今日からってことは、今日もカホラさんと調べるの?」
[吹雪]:「ああ、そのつもりだ」
[愛海]:「今日くらい休んだらいいのに、クリスマスイブなのよ? その聖なる日をかび臭いにおいのする部屋ですごすなんて、ムードがないじゃない」
[吹雪]:「別に図書室はかび臭くないだろう、別に心配いらねぇよ。それに――」
ちゃんと、言うことは言うつもりでいる。
[愛海]:「それに、の後は何が続くの?」
[吹雪]:「何でもない、とにかく、俺たちは達成のために頑張る」
[祐喜]:「僕たちは何にも手伝えないけど、応援はしてるから、頑張ってね」
[舞羽]:「ファイト、吹雪くん」
[吹雪]:「その言葉で十分だ、ありがとよ」
[繭子]:「はーい、じゃあ授業始めるよ~。あれ? 翔くんはどうしたの~? 何だか死んだ魚みたいな顔をしてるけど」
[祐喜]:「あ、問題ないです。スルーしてくれて大丈夫ですよ」
[繭子]:「そうだね~、じゃあ早速進めていこう~」
マユ姉にもスルーされてしまうとは……翔、逆にすごいぞ、お前。