アニマート(4)
[場所:職員室]
[吹雪]:「何だ? 急に呼び出して」
[繭子]:「ああ、ふーちゃん、来てたんだ~」
[吹雪]:「いや、マユ姉が呼び出したんだろうが」
[繭子]:「ああ、そうだね。繭子大失敗」
[吹雪]:「あーあー」
[繭子]:「あ、何よふーちゃん。その顔は?」
[吹雪]:「別に? 何でも」
[繭子]:「言ってよー、生徒の悩みは教師の悩み。先生にどーんとしゃべっちゃって、玉砕覚悟で」
[吹雪]:「玉砕て……砕けたらダメだろうが」
[繭子]:「人生砕けてナンボだよ」
[吹雪]:「それ違うと思うぞ」
[繭子]:「あり? そうかな?」
[吹雪]:「まあ何でもいい。それより何だよ? 用件は?」
[繭子]:「ああ、うん。コレ」
マユ姉は紙束を俺に渡した。
[繭子]:「それをクラスメイトに配ってほしいの」
[吹雪]:「これだけか?」
[繭子]:「うん、後コレ」
今度は紙切れを渡される。
[繭子]:「ワタシ、これから職員会議があるの。だから、ワタシの代わりにこのお知らせをしてほしいんだよね」
[吹雪]:「会議っていうと、この後のことか?」
[繭子]:「うん、そう。ちゃんと聞かないと」
[吹雪]:「寝るなよ? 会議中」
[繭子]:「大丈夫だよ~、ノープロブレム!」
不安は拭いきれないが、信じるとしよう。
[吹雪]:「じゃあ、俺は教室に戻るよ」
[繭子]:「うん、よろしくね~」
[吹雪]:「分かった」
……………………。
[場所:教室]
[吹雪]:「――以上です。帰宅しても問題はありませんが、時間に遅れないように学園に帰ってくるように」
さて、夜までに暇が出来たな。一旦帰ってもいいけど、することもないな。
[吹雪]:「舞羽、お前はどうするんだ?」
[舞羽]:「私は、時間までバーバロでアルバイト。今日もシフト入っちゃってるから」
[吹雪]:「そうか、大変だな」
[舞羽]:「ううん、結構楽しいよ? 慣れてくると」
[吹雪]:「そんなもんか?」
舞羽「ふふ、吹雪くんもどお? バーバロでバイト」
[吹雪]:「何を言ってるんだ、俺があそこで働いたら浮いちまうだろ?」
[舞羽]:「あはは、そうだね」
[吹雪]:「日野と一緒か?」
[舞羽]:「うん、今日は一緒。二人でホールを任されてるよ」
[吹雪]:「そうか、頑張れ」
[舞羽]:「うん、今度、また来てね」
[吹雪]:「ああ、もちろん」
[舞羽]:「じゃあ、また後でね」
本当にどうしよう? やっぱり一回帰ろうかね? そんなことを考えていると――。
[祐喜]:「吹雪、帰らないのかい?」
祐喜に話しかけられた。
[吹雪]:「どうしようか悩んでたところだ」
[祐喜]:「帰るか残るか?」
[吹雪]:「ああ、考え中だ」
[祐喜]:「あ、ならさ」
[吹雪]:「ん?」
[祐喜]:「僕、これから生徒会で仕事があるんだけど、今日は人が少なくてさ、ちょっと大変なんだよね。もし、吹雪に暇があるんなら、手伝ってほしいんだけど」
[吹雪]:「あ、そうなのか?」
[祐喜]:「うん、今年ももうすぐ終わりだからね。今年にあった資料とかをまとめなきゃいけないんだ」
[吹雪]:「なるほど、でも俺、難しいことは分かんないぜ」
[祐喜]:「ああ、大丈夫だよ。ただ資料を整理してほしいんだ。生徒会関係のものは僕たちがやるから」
[吹雪]:「そうか、ならいいぞ、手伝うぜ」
[祐喜]:「本当に? 助かるよ」
[吹雪]:「どうせ暇だしな」
何にもやることがないなら、手伝ったほうがいいだろう。
[祐喜]:「じゃあ行こう」
[吹雪]:「生徒会室は、三階か?」
[祐喜]:「うん、こっちだよ」
祐喜に導かれて生徒会室に向かう。
……………………。