カホラルート・プレスト(8)
[カホラ]:「N・P。確かにこのPはピアリーのPかもしれないわね。でも、そうなると頭のNは何を表しているのかしら?」
[吹雪]:「単純に考えたら、ピアリーの名前ですよね」
[カホラ]:「そうね。でも、資料にはピアリーとしか書かれてないから、名字なのか名前なのかはっきりしないのよね。だから、一概にそうとは言えないのよね」
[吹雪]:「うーん、だとすると別人という可能性も出てきますね」
[カホラ]:「私はピアリーが有力だとは思うんだけどね。四季のピアノを調べようと思う人自体あまり多くないから」
[吹雪]:「俺もそんな気がします。……とりあえず、この情報は取っておきますか」
[カホラ]:「そうね、何かを紐解くカギになるかもしれないし」
もらえる情報はもらっておこう。
[カホラ]:「そろそろ出ましょうか」
[吹雪]:「そうですね」
俺たちは出口に向かって歩き出す……はずだったんだが。
[カホラ]:「…………」
[吹雪]:「…………」
どうやら先輩も同じことを思ったようだ。
[カホラ]:「ねえ、吹雪」
[吹雪]:「はい、何ですか?」
[カホラ]:「出口って、どこかしら?」
[吹雪]:「あはは、どこでしょうね?」
[カホラ]:「そうよね、吹雪も初めて来たんだから、分かるわけないわよね」
[吹雪]:「……どうしましょう?」
[カホラ]:「ないわけはないはずよね。ここに誰もいないってことは、みんなここから出て行っていることだろうし」
[吹雪]:「ですよね。じゃあ出口は必ずありますよね」
[カホラ]:「どうしてお母さんは、出口の情報をくれなかったのかしら? もう」
[吹雪]:「忘れちゃってたのかもしれないですね」
[カホラ]:「大事な情報を言い忘れるなんて、もっとしっかりしてほしいわ」
[吹雪]:「とりあえず、歩いてみましょうか? 本当に最悪の場合は、さっききた入口を登っていけばいいですし」
[カホラ]:「吹雪は登れるかもしれないけど、私は登れるのかしら? 意外と急じゃなかった? あそこ」
[吹雪]:「その時は、俺が先輩を押しながら行きますよ」
[カホラ]:「吹雪? 私今日スカートよ? 見えちゃうんじゃない?」
[吹雪]:「あ……。……その時は、目をつぶりながらすれば」
[カホラ]:「それはちょっと無謀じゃないかしら? ……まあ、最終手段ってことね」
[吹雪]:「とにかく、出口があるか探してみましょう」
きっと、きっと出口があるはずだ。
…………。