カホラルート・プレスト(7)
[吹雪]:「これは、結構骨が折れるな……」
軍手とか箒とかを持って来ればよかった。地面は木屑や砂がところどころ散らばっていて見づらいところもあるから、それを除けなければ何が書いてあるのか見えないんだ。壁面を調べるよりも時間がかかるかもしれないな。
……………………。
[吹雪]:「うーん」
目ぼしいものはなかなか出てこない。ちょっとくらい出てきてくれてもいいと思うのに……。もう調べてない範囲はほとんどない。今俺が立っている場所くらいだ。もし手掛かりがあるとしたら、後はここくらいしかない。
[吹雪]:「あるかな……?」
俺は木屑を払って地面を調べる。
[吹雪]:「……………………。…………ん? 何だ?」
砂を払った場所に、小さく英語のような文字が掘られている。ひょっとして、これは手掛かりか? 俺は地に足をついてその文字を眺めてみる。
[吹雪]:「誰かの名前か?」
はっきりとした名前ではなく、イニシャルのみが記されている。掘られているその英語は……N・P。
……Pってことは、ひょっとしてこれを掘ったのはピアリーか? ここを発見した時に残したものだろうか? でも、情報らしい情報はないようだな。あるのはこのイニシャルとここに来たであろう日付のみ。これは後で先輩にも見てもらおう。とりあえず、残った部分も見てみるか。
……………………。
[吹雪]:「先輩」
[カホラ]:「あ、終わった? 吹雪」
[吹雪]:「はい、先輩も終わりましたか?」
[カホラ]:「ええ、バッチリよ」
ノートを広げながら笑顔を見せてくれる。
[カホラ]:「吹雪は、何か見つけた?」
[吹雪]:「正直、情報らしい情報はなかったんですけど、一つだけ名前のようなものが掘ってあるのを見つけました。ちょっと見てもらってもいいですか?」
[カホラ]:「ええ、ひょっとしてその名前ってピアリーのもの?」
[吹雪]:「俺もそうだと思うんですけど、確信を突く証拠がないので何とも言えないんですけど……」
[カホラ]:「そっか」
[吹雪]:「こっちです」
…………。