カホラルート・プレスト(6)
さて、まずは壁面を見ていこう。よく情報が残されてる場所と言ったら壁面のはずだ。
[吹雪]:「うーん」
確かに先輩の言うとおり、なかなかに広い空間だな。出てきた入口は結構狭かったはずだが……入口とそれに続く空間はまた違うってことか。じゃあ、まずは向こうから見ていこう。
…………。
[吹雪]:「うーん」
くまなくチェックしているつもりなんだが、目当てのものはなかなか見つからない。これだけ広いから、何かあってもおかしくはないと思うんだけど……。まあ、まだ半分しか見てないから、悲観するには早いか。最後まで見てから言ったほうがいいか。
[カホラ]:「…………」
先輩は、真剣にノートを片手に調査を続けている。ここから見ると、まるで先輩がここのストーンサークルを作成しているみたいだ。俺も、負けてられないな。
[吹雪]:「続けるか」
気を取り直してもう半分の壁面を調べよう。
…………。
[吹雪]:「あってもおかしくないはずなのに」
どうやら壁面には、情報らしい情報は見当たらなかった。現段階のことを先輩に伝えたほうがいいだろう。俺は先輩の元に一旦戻る。
[カホラ]:「あ、吹雪ー」
先輩がしきりに俺をこっちに呼んできた。何だろう?
[吹雪]:「どうしました? 先輩」
[カホラ]:「ううん、ちょっと中間報告をしようかと思って」
[吹雪]:「俺も同じことを考えてました」
[カホラ]:「本当? ちょうどよかったわ。何か手がかりあった?」
[吹雪]:「ちゃんと確認したつもりなんですけど、今のところは何も」
[カホラ]:「そっか、そればっかりはしょうがないわよね」
[吹雪]:「後でもう一度確認してみます。先輩はどうですか?」
[カホラ]:「ええ、今のところ順調に情報は手に入れてるわ。基本的な構造は泉にあったものと同じね。ピアノの保護とか防腐とか」
[吹雪]:「模様の配置はどうでしたか?」
[カホラ]:「配置は結構違っていたわね。模様の数も、泉のものと違うようだったし。向こうとこっちでは、色々と違いがあるのかもしれないわ」
[吹雪]:「なるほど、そうですか」
[カホラ]:「吹雪は、次はどこを調べるつもり?」
[吹雪]:「壁面に情報がなかったので、次は地面のほうを見てみようと思います」
[カホラ]:「何かはあると思うんだけどね、私の堪では」
[吹雪]:「それを俺も信じてます。終わり次第、また戻ってきますね」
[カホラ]:「ええ、お願い」
[吹雪]:「じゃあ、行ってきます」
俺は目線を下にシフトする。
……………………。
…………。
……。