カホラルート・プレスト(3)
[セフィル]:「一見普通の木に見えるかもしれないが、ここが入口だ。木と地面の隙間に空洞があるだろう」
[カホラ]:「本当だ、ちょうど人一人入れるくらいね」
[吹雪]:「よくピアリーはこれを見つけられましたね」
[カホラ]:「ひょっとしたらピアリーは、どこかでこの情報を手に入れていたのかしらね? そうじゃなきゃ何の情報もないのにこんな場所を見つけられるものかしら?」
[吹雪]:「……それか、かなりの幸運の持ち主だったんでしょうか?」
たまたまこの木の近くで休憩してたとか……宝くじの1等が当たるくらい低い確率かもしれないが。
[カホラ]:「本当にそうだとしたら、相当おもしろいわね」
[吹雪]:「ですね」
[カホラ]:「普通にここから入っていいの?」
[セフィル]:「ああ、下まで滑っていけば、そこにストーンサークルがあるはずだ。心配いらないぞ」
[カホラ]:「よかった」
[セフィル]:「では、私は戻るとしよう。しっかりと調査するんだぞ。報告を待ってるからな」
[カホラ]:「ええ、お母さんも仕事頑張りなさいよ?」
[セフィル]:「もちろんだ、しっかり生活費を稼ぐさ」
[カホラ]:「生々しい表現しなくていいわよ」
[セフィル]:「とにかく、気を付けるんだぞ?」
[カホラ]:「ええ」
[吹雪]:「ありがとうございました」
[カホラ]:「では」
シュッと、学園長は目の前から消えた。
[カホラ]:「――よし、じゃあ早速行きましょうか。第二のストーンサークル調査に」
[吹雪]:「はい!」
気合いは十分入っている。しかし――。
[吹雪]:「今さらですけど、本当に入っていけるんでしょうか? 途中でハマったりしませんよね?」
[カホラ]:「だ、大丈夫じゃないかしら? お母さんもそう言ってたし。危ないのは肥満体質の人だけだと思うわよ」
[吹雪]:「ですよね。…………」
[カホラ]:「…………」
[吹雪]:「す、すみません。ちょっとだけ待ってもらってもいいですか?」
[カホラ]:「ええ、いいわよ。心の準備は必要だしね」
気合いは十分なんだが、ちょっと足が思うように動かない。正直言って、ちょっと怖い。ないとは思うんだが、思うんだけど、もし出られなくなったらってことを考えると……。
[吹雪]:「すいません、情けない姿を」
[カホラ]:「しょうがないわよ、私だって少し思ってるし」
[吹雪]:「あ、本当ですか?」
[カホラ]:「当たり前でしょう? こんなに狭いんだし、本当に下に続いてるのか心配だもの」
[吹雪]:「先輩も思ってて、ちょっと安心しました」
[カホラ]:「それが普通の考えよ、大丈夫」
[吹雪]:「ちょっと気持ちが軽くなりました、ありがとうございます」
[カホラ]:「どういたしまして」
……今ならいけるかもしれない。
[吹雪]:「よし、もう大丈夫です。行きましょう」
[カホラ]:「ええ、いつまでもここに留まってるわけにもいかないし」
[吹雪]:「俺が先に行きます、先輩はその後に」
[カホラ]:「うん、分かったわ」
――よし、意を決して!
[吹雪]:「行くぞ! それっ!」
俺は空洞の中に飛び込んだ。
……………………。