カホラルート・リテヌート(14)
[カホラ]:「木が入口になってるってことだったのね」
[セフィル]:「そういうことだ」
そう、学園長が書いてくれた絵は、木の根元に人一人が入れるような隙間のある木があり、そこを抜けるとストーンサークルが隠された空間があるというものだ。
[カホラ]:「じゃあ、もう一つのストーンサークルは地上にはないってこと?」
[セフィル]:「そうなるな、木の隙間から下に降りていくわけだから」
[カホラ]:「これは、教えてもらわないと分からなかったかもしれないわね」
[吹雪]:「神殿の周りは木だらけですからね」
軽く数百本以上あるであろう木を調べていくのは気が遠くなるような探索になっていただろう。
[吹雪]:「ちなみに、ピアリーが残していた手掛かりはどんなものでしたか?」
[カホラ]:「ちょっと待って……メモ帳を見てみるわ。――えーっと、風花のピアノが置かれた神殿の南西、森林の中の謎の空洞が目印、って書いてあるわ。正にお母さんの言っていたとおりのことが書かれているわね」
[吹雪]:「でも、それだけだと見つけるのは相当厳しい内容でしたね」
[カホラ]:「ええ、正確な場所が分からないと難航は必至ね」
[セフィル]:「ピアリー、二人が手掛かりにしていた資料を作成した人物か?」
[カホラ]:「ええ、すでに故人だけど、四季のピアノについて独自に調べていた人物よ。個人的には彼の見解が一番正しいんじゃないかって思ってるわ」
[セフィル]:「ピアリーか……」
[カホラ]:「お母さん、彼を知ってるの?」
[セフィル]:「いや、うーん、何と言えばいいのだろう。何だかその名前に引っ掛かりがあってな、この学園の卒業生か?」
[カホラ]:「個人に関しての記録はほとんど残っていないみたい。40歳前後の時に、この島にやってきたってことが資料に書いていたぐらいかしら」
[セフィル]:「この島に? 外からか?」
[カホラ]:「ええ」
[セフィル]:「うーん……外からだとすると違うか、でも、何だか引っ掛かるんだよな」
[カホラ]:「お母さん、実はピアリーを知ってるんじゃ?」
[セフィル]:「どうだろうな、もちろん会ったことはないが……そのうち思い出すかもしれないから、その時に話すとしよう。思い出さないかもしれないが」
[カホラ]:「気のせいってこともあるかもしれないからね」
[セフィル]:「その時は笑って許してくれ」
[カホラ]:「笑いはしないけど、許しはするわ」