カホラルート・リテヌート(13)
[セフィル]:「以前二人が言ってきたのはこの辺だな。島の地図には記載されてないから特定するのが難しいが」
[カホラ]:「やっぱり地図には記載されてないんですね、あの場所は」
[セフィル]:「何分、隠されているものが隠されているものだからな。更に入り組んだ場所にあるから、泉自体見つけるのが困難なんだ。まあ、ピアノが置かれた神殿に行く者もほとんどいないというのもあるんだろうがな」
[カホラ]:「だとしたら、記載する必要もないわけね」
[セフィル]:「そう、一部の人間さえ知っていればいいというわけだ」
[カホラ]:「なるほどね」
[セフィル]:「で、もう一つのストーンサークルの場所だが……ここだ」
学園長は地図の南西を指差した。
[カホラ]:「この場所って、風花のピアノの近くよね」
[セフィル]:「そうだな、泉と同じように、こっちのストーンサークルもピアノの近くに隠されているんだ。さあ、どこだと思う?」
[カホラ]:「どうしてクイズ形式なのよ?」
[セフィル]:「いや、普通にしゃべるのも味気ないと思ってな」
[カホラ]:「まあいいけど、うーん、泉の中に隠されていたわけだし、こっちのストーンサークルも普通の場所には隠されてないでしょうね」
[吹雪]:「風花のピアノの近辺って、何がありましたっけ? 俺、一回しか言ったことないからそこの事情がよく分からなくて」
[カホラ]:「そうよね、私は担当のピアノがそこだから何度か言ってるけど……あそこって何か目を引くようなポイントってあったかしら?」
[吹雪]:「うーん……」
[カホラ]:「森? 川なんてなかったし、建物は神殿以外になさそうだったし……分からないわね」
[セフィル]:「ん? 降参か?」
[カホラ]:「降参というか、ヒントもないのに分かるほうがおかしいわよ」
[セフィル]:「じゃあ、リタイアということだな。よし、正解を教えよう」
先輩のツッコミお構いなしに、学園長はそのまま話を進めていく。
[セフィル]:「正解は……木だ」
[カホラ]:「木?」
[吹雪]:「木?」
[セフィル]:「木?」
[吹雪]:「学園長は驚く必要ないですよ」
[セフィル]:「いやいや、二人の反応の良さに乗りたくなってしまった」
[カホラ]:「にしても木? 木に隠されてるって、一体どういうことなの?」
[セフィル]:「言葉通りの意味だぞ。もちろん、出任せでもない」
学園長はおもむろに紙にペンを走らせ始めた。
[セフィル]:「私が言ってるのは、こういうことだな」
[カホラ]:「へー、そういうことね」
[吹雪]:「またすごいところに……」
これは確かに気付くのは難しいだろう。