カホラルート・リテヌート(12)
[カホラ]:「で、お母さん。そろそろ本題に入ってほしいんだけど」
[セフィル]:「カホラは結構せっかちだな、もう少し三人の会話を楽しんでもいいだろうに」
[カホラ]:「このまま話してたら、お母さんに対するお説教がメインになっちゃうわよ?」
[セフィル]:「うむ、それはちょっと困るな。吹雪の前で怒られるのはちょっと恥ずかしいぞ」
[カホラ]:「恥をさらすのが嫌なら、まず話して。それで許してあげるから」
[セフィル]:「分かった、話すよ」
沢渡家で一番権力を持っているのは、カホラ先輩なのかもしれないな。
[セフィル]:「じゃあ、お待ちかねの情報を提供するとしよう。何から聞きたい?」
[カホラ]:「もう一つの確認されているストーンサークルの場所を教えてほしいわ」
[セフィル]:「ストーンサークルの場所だな? 以前二人が行ってきたのは、桜花のピアノ近辺のほうだったか?」
[カホラ]:「ええ、見つけるのが大変だったわ」
[セフィル]:「でも見つけられたんだろう? あの少ない情報の中で。それは普通にすごいことだ」
[カホラ]:「吹雪が見つけてくれたのよ、ひょっとしたらあるかもって木に登って上から見下ろして」
[セフィル]:「よく気付いたな? 吹雪よ」
[吹雪]:「最初は二人で泉の周辺を探していたんですけど、全然見つかる気配がなくて、だとしたらどこだって考えた時にそこしかないんじゃないかって思ったんです。……後付けのような感じですけど」
[カホラ]:「でも、その考えがなかったらきっと見つからなかったでしょうね」
[セフィル]:「その時はその時で、私がこうして教えてあげていただろうな」
[カホラ]:「もう少し早く教えてくれてれば、もっと嬉しかったんだけど」
[セフィル]:「だから昨日も言っただろう? 自分たちで探すことで、いつもと違った世界が見えてくると」
[カホラ]:「……昨日と言ってることが違うわよ?」
[セフィル]:「何? そんなはずは……昨日、私は何と言ってた?」
[カホラ]:「自分で調べて解明するから謎解きはおもしろいものだろう、よ」
[セフィル]:「カホラ、すごい記憶力だな」
[カホラ]:「昨日自分で言ったことを覚えてないのもどうかと思うわよ?」
[セフィル]:「……ふふ」
[カホラ]:「笑って誤魔化してるんじゃないわよ」
[セフィル]:「まあ、とりあえずそういうわけだから、教えるのが面倒だとかそういうことではないんだ。分かってくれ」
[カホラ]:「次からは早めによろしくね」
[セフィル]:「私が気付けるようなオーラを出していてくれよ」
[カホラ]:「常にそんな風にしてたわよね? 私たち」
[吹雪]:「こうしてこれから情報を頂けるわけだから、何も言えないんですけどね」
[カホラ]:「そうなのよね」
[セフィル]:「はっは。――話が反れてしまったな。二人とも、島の地図を持ってるか?」
[カホラ]:「みんなの部屋にあるわ。今手元にはないわね」
[吹雪]:「あ、俺持ってきますよ。待っててください」
[カホラ]:「ごめんね、よろしく」
…………。