カホラルート・リテヌート(9)
そしてそれから1時間後。
[カホラ]:「はあ、完成」
[吹雪]:「やった!」
努力の末、ようやく解読が終了した。
[カホラ]:「今日中に終われてよかったわ」
[吹雪]:「はい」
[カホラ]:「……ふふ、じゃあ早速教えてあげましょうか」
[吹雪]:「お願いします」
俺は先輩から、今終えた半分のストーンサークルに関して教えてもらった。やはり描かれていた模様は補助魔法が全般だったようで、風化、防腐などのものがほとんどだった。四季のピアノを昔の状態のままで保つには、これくらいしなければいけないのだろう。
[カホラ]:「重ねがけされていたのは、劣化を防ぐものと清潔に保つものだったわ。特に劣化のほうに関してはもう半分のほうにも、もう一つ同じ模様があったから、計三つかしら」
[吹雪]:「弾けなくなったら大変ですし、これくらいしないとダメなんですね」
[カホラ]:「四季を保つためのピアノが壊れたら、大惨事だからね」
[吹雪]:「ですね」
[カホラ]:「後、これも大事なことね。見に行ったストーンサークル、あれは現在も作動している可能性が高いかもしれないわ」
[吹雪]:「そうなんですか?」
[カホラ]:「ええ、今までは本当か断定できなかったけど、昨日の泉の輝きのおかげでそれが分かったわ」
[吹雪]:「あの輝き……ひょっとしてあれは、ストーンサークルが放っていたものだったんですか?」
[カホラ]:「そうね、私も最初は泉が光っているかと思ったわ。でも、ストーンサークルを間近で見た時、あの光は泉の奥から見えていた。魔法陣は、作動する時に大きな光を放つものが多い。魔法陣はストーンサークルから開発されたものだから、ストーンサークルも同じような反応を示す可能性が高いと思うの」
[吹雪]:「そうですね、俺も魔法陣の反応は見たことがあります」
[カホラ]:「もしそれが正しかったら、なかなかの有力情報ね。もう一つの確認されているストーンサークルも動いてるかもしれないってことになるからね」
[吹雪]:「確かに、同じような作りだとしたら、その可能性は大いにありますもんね」
[カホラ]:「絶対、とは言えないけどね。四季のピアノによって、ストーンサークルの模様の描き方は変わってくるかもしれないし」
[吹雪]:「ああ、そうか。でも、それがあったとしても昨日のストーンサークルが動いているわけですから、確率は結構高いんじゃないですか?」
[カホラ]:「そうね、今も四季のピアノが保たれているのはストーンサークルが作動しているからかもしれないしね」
[吹雪]:「もう一つのストーンサークルも見てみたいですね」
[カホラ]:「ええ、お母さんの情報が楽しみ」
これでまた一つ、四季のピアノについての謎が解けたな。この調子で、前進して行けたらいいと思う。