カホラルート・リテヌート(6)
[場所:図書室]
[吹雪]:「――って、学園長が言っていました」
[カホラ]:「今日の夜ね、分かったわ」
図書室で合流し、先輩にそのことを伝えた。すでに先輩は、昨日のストーンサークルのメモを大きな紙に書き直し、本と照らし合わせて解読を始めていた。
[吹雪]:「すごい、再現力ですね」
俺が木の上から見たものと全く同じに見える。
[カホラ]:「正確な情報じゃないと、解読が難航しちゃうからね。そのための肩車だったわけだし」
[吹雪]:「そうですね。…………」
[カホラ]:「ん? どうしたの? 急に黙っちゃって」
[吹雪]:「いや、別に何でもないです」
いかんな、ちょっと思い出してしまった。これが男の性か……さっきまで忘れていたのに、先輩の口からその言葉が出た途端これだよ……。
[吹雪]:「ダメだ、忘れるんだ、俺」
[カホラ]:「え? 何を?」
[吹雪]:「い、いや、こっちのことですから、気にしなくて大丈夫です」
[カホラ]:「そうなの? ……何か突き放されたみたいで寂しいわね、そんな言い方されると」
[吹雪]:「そ、そういうことじゃないんですよ。自己完結できることなんで」
[カホラ]:「ならいいけど、あまり隠し事はしないでよ? 私と吹雪の仲なんだから、ね?」
[吹雪]:「は、はい」
[カホラ]:「ふふ」
……やっぱり素敵だ、カホラ先輩は。
[カホラ]:「うーん、もう一冊資料が必要ね。吹雪、悪いんだけど、この本を持ってきてくれないかしら」
先輩は、本の名前が書かれた紙を手渡した。
[カホラ]:「受付にこれを渡せば出してくれると思うから」
[吹雪]:「分かりました」
…………。