カホラルート・リテヌート(4)
[場所:グランド]
[吹雪]:「はあ……はあ……ゴール……」
[セフィル]:「うむ、相変わらず良い走りだったぞ。どんどんランナーに近づいてるな」
[吹雪]:「なる気はないですからね? ランナーに」
[セフィル]:「分かっているさ……良い成績を残せると思うんだがな……」
[吹雪]:「そんな寂しそうな目をしないでくださいよ……」
断ってるのが悪いみたいになってくるじゃないか……。
[セフィル]:「よし、休憩を挟んでホーリーカルムの練習に移ろう」
[吹雪]:「はい」
……………………。
[吹雪]:「――ホーリーカルム!」
いつものように、フェルシア先生に向けて自分の魔力を与える。
[セフィル]:「うん、大分板についてきたようだな」
学園長の言葉を耳に聞きながら、そのまま魔法を送り込む。やはり努力と言うものは、報われるようにできているのかもしれない。この練習を開始した時よりも、スムーズにできているような感覚が自分の中にもある。これを本番までキープ、いや、今以上にしっかりとできるように頑張らなければ。そのためには、今の練習をしっかりこなさなければ。
……………………。
[吹雪]:「ふう……」
[セフィル]:「よし、終了だ。ほら、飲むといい」
[吹雪]:「ありがとうございます」
ドリンクを受け取り、ごくりと一口。
[吹雪]:「はあ、うまい」
[セフィル]:「日に日に供給にかかる時間が短くなっているぞ」
[吹雪]:「本当ですか?」
[セフィル]:「ああ、そうだろう? フェル」
[フェルシア]:「はい、魔力の入り方が以前よりもスマートになってるのを感じてるわ」
[吹雪]:「スマート、ですか?」
[フェルシア]:「良い表現が思い浮かばなくて、でも、イメージはそんな感じ。最初の頃と比べて格段によくなってるわ。供給時間が何よりの証拠よ」
[吹雪]:「それは素直に嬉しいです」
倒れない程度に、これからも努力していこう。
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