カホラルート・レント(18)
[吹雪]:「じゃあ、歩きますね」
[カホラ]:「ええ」
転ばないように注意しながら、俺は反対側を目指して歩く。
[カホラ]:「随分久しぶりだわ、肩車をしてもらうなんて」
[吹雪]:「そうでしょうね、幼少の頃くらいしか機会はないでしょうから」
[カホラ]:「昔は、お母さんによくやってもらってたわ。高さが変わるだけで、自分が居た世界が違って見えるようで楽しかったのよね」
[吹雪]:「その気持ちは分かりますね。俺も、先輩と同じでしたから。高いところは、何でかテンションが上がるんですよね」
[カホラ]:「そうね。それを今やってもらってるっていうのは、何だか不思議な感じね」
[吹雪]:「俺も思いますね。やってもらう側が、いつの間にかやってあげれるようになったんですから」
[カホラ]:「男らしくなったってことね」
[吹雪]:「そう、なんですかね」
[カホラ]:「そうよ。パートナーに選んだのが吹雪でよかったわ。こんなこと、吹雪じゃなきゃ頼めないもの」
[吹雪]:「あんまり、そういう状況になることは日常ではありませんよ」
[カホラ]:「だからこそよ、こんなことを頼んで嫌な顔しないで手伝ってくれるのは、吹雪くらいよ。本当に感謝してるわ」
[吹雪]:「同じことばかり言ってますが、役に立てているなら何よりです」
[カホラ]:「うふふ、――あ、ここでいいわ、止まってもらえるかしら?」
[吹雪]:「分かりました」
泉の方に体を向ける。