カホラルート・レント(16)
[吹雪]:「分かりました、俺、やります」
[カホラ]:「本当?」
[吹雪]:「はい、ここまできて先輩がストーンサークルを見ることができないなんて許されざることですから。俺、頑張ります」
[カホラ]:「やはり、吹雪は頼れる男の子ね、吹雪は」
[吹雪]:「もったいない言葉です」
[カホラ]:「じゃあ、岩の上に乗って、かがんでくれないかしら?」
[吹雪]:「分かりました」
指示通りにして、俺は先輩を待つ。いいか? 俺、余計なことは考えるなよ? 変に首周りに神経を集中させるんじゃないぞ。
[吹雪]:「いつでもオッケーです」
[カホラ]:「じゃあ、失礼して……よいしょ」
[吹雪]:「おお……」
[カホラ]:「大丈夫?」
[吹雪]:「はい、大丈夫です」
[カホラ]:「バランスを整えて……いいわよ、立ち上がってもらえる?」
[吹雪]:「分かりました」
よし、行くぞ。
[吹雪]:「――ふっ!」
[カホラ]:「きゃっ!?」
先輩の足を支えながら、力を込めて立ち上がる。ちょっと勢いをつけすぎたのか、先輩はバランスを崩し、俺の頭の上に手を置いて支えた。そうなると、自然と先輩の体は折り曲がるわけで……。
(む、胸が!?)
先輩のものが、俺の頭に押しつけられた。
[カホラ]:「ごめんね、吹雪」
[吹雪]:「い、いえ、全然問題ありません」
本当は若干あるが、そんなこと言えるわけがない。
[吹雪]:「どうですか? ストーンサークルは見えますか?」
[カホラ]:「ちょっと待って」
幸い泉は自ら光を放っているため、懐中電灯で照らす必要はない。
[カホラ]:「――あ、見えるわ。吹雪、ちゃんと見えるわ」
嬉しそうな先輩の声が上から聞こえてきた。
[カホラ]:「へー、こんな風になってたのね」
[吹雪]:「どうですか? 作りに何か特徴はありますか?」
[カホラ]:「うーん、そうね。もうちょっとじっくり見てみるわね」
俺の頭を支えにして、先輩は体を前に押し出す。
[吹雪]:「おお……」
状況はさっきと同じになってしまった。しかも先輩はストーンサークルをじっくり見ているため、体勢はそのまま変わらない。