カホラルート・レント(8)
[場所:神殿への道]
他愛もない話をしながら、俺たちは神殿を目指す。
[吹雪]:「先輩、ランプなんて持ってたんですね」
[カホラ]:「吹雪の家にはないの?」
[吹雪]:「はい、というか、一般家庭でランプを持ってる人はあんまりいないと思いますよ。今じゃあ結構珍しいものですし」
[カホラ]:「そっか。家で懐中電灯探してて、一つしか見つからなかったんだけど、その時に何か変わりになるものはって探した時にこれが出てきたのよ」
[吹雪]:「よく、ランプなんてありましたね」
[カホラ]:「お母さんが使ったりしてたのかしら」
[吹雪]:「書類整理をする時とかにですか? ……普通に電気を付けたほうがいいですよね」
[カホラ]:「いやでも、お母さんだから。そのほうが雰囲気が出ていいんだ、とかは言いそうじゃない?」
[吹雪]:「確かに……」
そうやっている学園長の様子が容易に思い浮かべることができる。
[カホラ]:「今だと不便かもしれないけど、昔はよく使っていたものだからね。そう考えると、常に新しいものを発明していく人たちはすごいって思うわ」
[吹雪]:「確かに。このランプだって、一昔前は偉大な発明だったわけですもんね」
[カホラ]:「そうね、少ない燃料で明かりが長持ちするわけだからね」
[吹雪]:「そういえば、どんな作りになってるのかよく見たことがなかったな……」
[カホラ]:「見てみたら? ほら」
先輩は持っていたランプを差し出した。
[吹雪]:「じゃあ、ちょっと――」
俺は懐中電灯とランプを交換した。
[吹雪]:「あ、意外と重いな……」
予想外の質量に若干驚いたが、俺はランプをじっくりと見てみる。