カホラルート・レント(4)
[場所:第四音楽室]
[吹雪]:「なんで、祐喜たちも分からないって言ってました」
[カホラ]:「そう、しょうがないわよね。これだけ調べても、まだまだ謎が多いから、それで祐喜が全て知ってたりしたら、逆に困っちゃうわ」
[吹雪]:「そうですね、今までの努力が報われずに終わっちゃいますもんね」
[カホラ]:「私たちの力で切り開いていきましょう」
[吹雪]:「はい」
[カホラ]:「というわけで、まずはピアノの練習ね」
[吹雪]:「はい、頑張りましょう」
今からカホラ先輩は自分の全てのパートを弾いていく。俺はその横で、遅れることなく楽譜をめくっていく。
[吹雪]:「本当に、こんなことでいいんですか?」
[カホラ]:「もちろんよ、自分一人で楽譜をめくってたら通して弾くことはできないんだから。とっても大事な役目よ」
[吹雪]:「そうですか? だとしたら、全力でめくります」
[カホラ]:「力んで破ったりしちゃだめよ?」
[吹雪]:「はい、分かりました」
[カホラ]:「すう……はあ……」
カホラ先輩は深呼吸をし、精神統一に入った。そして――曲を奏で始めた。
[カホラ]:「…………」
いつもと同じ、とても安定感のあるメロディーラインだ。以前学園長に指摘された強弱も、今はしっかりとついていて曲調に幅も出た。来たる本番に向けて、形は完成に近づいてると思われる。
俺はタイミングを合わせて楽譜をめくった。先輩は軽くうなずいて、そのまま弾き続ける。今のところノーミス、このままうまく続けられるだろうか。
……………………。