カホラルート・レント(1)
12月21日(火曜日)
[場所:教室]
[翔]:「――てわけでな、女の子にバイバイされちゃったんだよ。ひどいと思わないか?」
[祐喜]:「ふーん、よかったね。でさ、吹雪――」
[翔]:「ちょいちょいちょい、祐喜くんストップ!」
[祐喜]:「何だい? 翔」
[翔]:「いや、扱いがぞんざいじゃないかなーって思って。そんなさらっと話を受け流さないでくれよ」
[祐喜]:「だって、また女の子に逃げられたって話でしょう? いい加減つまんないんだよね、聞いてても僕たちのタメにならないしさ」
[翔]:「うぼふっ!? そ、そんなはっきりと……」
[祐喜]:「だって、本当だから。ねえ? みんな」
[吹雪]:「うん、つまんないな」
[愛海]:「ご飯時にする話ではないわね」
[舞羽]:「あ、あはは……」
[祐喜]:「というわけだから、話題を変えようよ、ね? 翔」
[翔]:「うう、オレって一体、みんなの何なんだろう……」
[愛海]:「大丈夫よ翔っち、みんなあなたのことを思って言ってるだけだから、元気出しなさい」
[翔]:「日野……」
[愛海]:「だから今は、空気を読みましょう」
[翔]:「うん、全力で読むよ」
[吹雪]:「珍しく日野が翔をなだめてるな」
[愛海]:「あ、何か言いたそうね? 大久保くん」
[吹雪]:「いや、別に。何でもない」
[愛海]:「そう? じゃあ早速、話を変えましょうか。あ、舞羽、その春巻き交換しましょう、私の肉団子と」
[舞羽]:「うん、いいよ」
[愛海]:「ありがとう。……あれ? 今気づいたんだけど、二人ともお弁当の中身が一緒なのね。どうして?」
[舞羽]:「ああ、ほら、私たち今学校で合宿をしてるから。食事もみんなで共有してるから、お弁当もまとめて作ったの」
[愛海]:「ああ、そういうこと」
[翔]:「にしても学校で合宿か……前々から思っていたんだが……吹雪」
[吹雪]:「あ? 何だ?」