161/1013
カホラルート・ジョコーソ(9)
[吹雪]:「――エル・エルフィリード・グラディアス。光の精よ、我の力となり、一筋の煌めきを与えん。――ホーリーカルム!」
そしてソロパートは最後のカホラ先輩に。マユ姉よりもアップテンポの曲調を感じながら俺は舞羽に魔力を与える。この後はおそらく、また四重奏に戻るだろう。もう一息だ、頑張れ、俺。
[セフィル]:「いいぞ、もう少しだ吹雪」
[フェルシア]:「頑張って、吹雪くん」
二人の応援に励まされながら俺は詠唱に心血を注ぐ。
[セフィル]:「よし、詠唱停止」
パートは最後の四重奏に入った。最初と同じ、ゆっくりとしたメロディーが紡がれていく。四人の息はピッタリで、淀みはほとんどない。多少の間違いはあっても、取り戻せる程度だ。徐々に、音量も小さくなっていく。
そして――余韻を残し、メロディーは終わりを迎えた。
それと同時に――。
[セフィル]:「ふ、吹雪!?」
俺の記憶も飛んでしまった。
……………………。
…………。
……。