カホラルート・ジョコーソ(7)
12時と共に、柱からメロディーが流れてきた。最初のパートは桜花のピアノを弾く舞羽からだ。そして、そのパートを追いかけるように杠の海風のピアノ、マユ姉の月影のピアノ、カホラ先輩の風花のピアノと続いていく。始めはゆっくり歩くようなテンポ、そのメロディーを次は杠が最初に奏で、同じようにマユ姉、カホラ先輩、舞羽と続けていく。
そして一周し、曲調は平均的なものになる。メインパートは舞羽に戻り、他の三人はそのメロディーを引立てるメロディーを奏でる。まだ序盤ではあるが、みんな問題なく弾けているようだ。
[セフィル]:「うん、今のところはいい感じだな」
[吹雪]:「このまま、続いてほしいですね」
[セフィル]:「まだ先は長い、見守っていてあげよう」
(頑張ってくれ、みんな……)
そして、全員がメインパートを弾き終わり、曲調は徐々に早く、激しくなっていく。先程とは打って変わった大きな音とメロディー、変拍子とでも言えばいいだろうか。その複雑なテンポの中でメインパートは移り変わり、引立てられていく。
と、ちょうどその時だった。
[繭子]:「あ……」
一瞬、和音の乱れが生じた。どうやら鍵盤を押し間違えたようだ。だが、すぐに立て直し、止まることはなかった。
[セフィル]:「大丈夫だ、そのまま続けてくれていい」
やはり、それだけ難しいところなのだろう。
[聖奈美]:「くっ……」
[カホラ]:「あっ……」
変拍子パートの中間らしいところで、杠と先輩が和音を間違えた。しかし、止まることはなく次のパートに集中する。
[セフィル]:「そろそろ、中盤だな」
ここからはしばらく、ソロパートが続いていく。舞羽、杠、マユ姉、先輩の順に回っていくから、他の三人はしばらくの休憩と言ったところか。
俺個人的には、ここが魔力供給の絶好のポイントだと思うんだが。
[吹雪]:「学園長、タイミングは?」
[セフィル]:「そうだな、舞羽のパートが終わるまで、聖奈美に魔力を供給してみてくれ」
[吹雪]:「分かりました」
俺は目を閉じ、杠を頭に思い浮かべた。神経を研ぎ澄まし、イメージを働かせる。