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ソプラノ  作者: BAGO
個別ルート・カホラ フォルテ
151/1013

カホラルート・フォルテ(9)

[場所:泉]


[カホラ]:「うわ~、すごい」

綺麗な泉が広がっていた。決して大きくはないが、それでも岩の間から水がコンコンと湧き出ていて、とても良い光景だ。

[カホラ]:「綺麗……」

先輩もその光景に目を奪われているようで、目線がそこから離れない。

[カホラ]:「こんな場所が、この島にあったのね」

[吹雪]:「びっくりですね、本当に」

[カホラ]:「人が開拓したわけではないようだし、自然とできたのかしら?」

[吹雪]:「その可能性が高いかもしれませんね」

地図に載ってないことと、踏み荒らした様子もないのが証拠になる。

[カホラ]:「隠しスポットを見つけちゃったみたいね」

[吹雪]:「これは、みんなには秘密にしておきたいですね」

[カホラ]:「ふふ、そうね。私たちだけの場所、みたいな感じかしら?」

[吹雪]:「ですね」

あまり人に知られると、この泉が困りそうだしな。

[カホラ]:「座りましょうか」

[吹雪]:「はい」

俺たちは水辺にある石に腰を降ろした。

[カホラ]:「はあ、落ち着くわ」

[吹雪]:「はい、癒されますね」

水が流れ落ちる音が心地良い。

[吹雪]:「飲めるんですかね? この水」

[カホラ]:「大丈夫じゃないかしら? こんなに透き通ってるし」

[吹雪]:「ですね。飲んでみます」

手で水を掬う。

[吹雪]:「冷たいな」

こぼれないようにそのまま口へ。

[カホラ]:「どう? 吹雪」

[吹雪]:「めちゃくちゃ美味しいです」

市販で売ってるミネラルウォーターよりもおいしいかもしれない。塩素の臭いなんてしないし、とっても冷えてて喉も潤う。

[カホラ]:「先輩も飲んでみたほうがいいですよ」

[吹雪]:「そう?」

先輩も、水を掬って口に運んだ。

[カホラ]:「本当、冷たくておいしい」

[吹雪]:「自然の美味しさを実感しましたね」

[カホラ]:「そうね、なめてたわね私たち。考え方を改めないといけないわね」

[吹雪]:「ですね」

[カホラ]:「ふう……足でも浸そうかしら」

[吹雪]:「いいんじゃないですか?」

誰も咎める者はいない。

[カホラ]:「じゃあ、失礼して――」

先輩は靴を脱いで足を泉に入れた。

[カホラ]:「はあ、気持ちいい~」

[吹雪]:「よかったですね」

足をパタパタしながら、先輩は足を冷やす。

[カホラ]:「意外と、ここが森に生きる宝石だったりしないかしらね?」

[吹雪]:「ああ、そう言われるとしっくりくる気もしなくないですね」

泉の水は、日差しできらきら輝いていて、さながら宝石のように綺麗だ。

[吹雪]:「有り得るかもしれませんね」

[カホラ]:「ここは、候補に入れておいたほうがいいわね」

先輩は、地図に赤い丸を付けた。

[吹雪]:「名も無き泉……何だか良い響きですね」

[カホラ]:「言い換えれば、私たちの秘密の場所ね」

忘れないようにしないと。

[カホラ]:「はあ」

先輩は今の姿勢を保ったまま、目をゆっくり閉じた。端から見て、かなり絵になる図だった。元々先輩は美人だから、何をしても綺麗なんだが、今はいつも以上に綺麗に映っているように見える。

[カホラ]:「ん? どうかした? 吹雪」

[吹雪]:「あ、いや、何も」

見入ってしまっていたようだ。何か最近こういうことが多い気がするな。先輩と過ごす時間が増えたからだろうか?

[吹雪]:「うーん……」

[カホラ]:「悩みでもできたの?」

[吹雪]:「いえ、そんなことないですよ」

考えてもしょうがないな。

……………………。


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