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ソプラノ  作者: BAGO
個別ルート・カホラ アンダンティーノ
141/1013

カホラルート・アンダンティーノ(16)

[吹雪]:「あ、うまい」

[カホラ]:「そうでしょう? 私のお気に入りだから」

[吹雪]:「先輩、そこまでビスケット大好きでしたっけ?」

[カホラ]:「ううん、このシリーズだけよ。他のものが嫌いってわけじゃないけど、ビスケットはこれが一番好き」

[吹雪]:「そうなんですか」

[カホラ]:「1年くらい前にたまたまお母さんが買ってきたのよ、甘いものが食べたかったらしくて。それで一緒に食べてみたら、すごくおいしくて、それ以来ハマっちゃったの」

[吹雪]:「良い出会いをしたんですね」

[カホラ]:「安くておいしいから、吹雪も是非ご贔屓に」

[吹雪]:「せ、宣伝ですか?」

[カホラ]:「何となくね、やったほうがいいと思って」

[吹雪]:「機会があれば、舞羽たちに教えておきますよ。美味しいのは確かですから」

[カホラ]:「よし、ファンが増えたわね」

嬉しそうに先輩は笑った。その姿は、びっくりするくらいかわいらしかった。先輩なのにこんな風に言うのは失礼なのかもしれないけど、かわいらしいというのが一番しっくりくる。

というか、何を考えてるんだ俺は。

[吹雪]:「……忘れよう」

[カホラ]:「ん? 何か言った? 吹雪」

[吹雪]:「い、いえ何でもないです」

[カホラ]:「そお?」

[吹雪]:「お気になさらず」

面と向かって言えるほど俺は強心臓じゃない。

[カホラ]:「今何時かしら?」

[吹雪]:「あ、ちょっと待ってください」

携帯を開いて時刻を確認する。

[吹雪]:「今、2時半ですね」

[カホラ]:「思ったより時間が経ってたのね」

[吹雪]:「ですね、予想外でした」

[カホラ]:「やっぱり、誰かと一緒に作業してると、時間が過ぎるのが早いわね。一人でしてる時と大違い」

[吹雪]:「それは分かりますね。退屈な時間ほど過ぎるのが遅いんですよね」

[カホラ]:「そうよね、どうして逆にならないんだろうって思うわ」

[吹雪]:「人生、そううまくはいかないようにできてるんですよね」

[カホラ]:「詩人みたいなことを言うわね、吹雪」

[吹雪]:「お、思ったことを口にしただけですよ」

[カホラ]:「分かってるわ、私もそう思うもの。それだけ、今の時間が楽しいってことよね」

[吹雪]:「ほ、本当ですか?」

[カホラ]:「ええ。吹雪は話が通じるし、一緒にいてて楽しいからね」

[吹雪]:「あ、ありがとうございます」

さすがに、そんなことを面と向かって言ってもらえると――。

[カホラ]:「顔、真っ赤ね」

[吹雪]:「お、お気になさらず。言われ慣れてないものですから」

[カホラ]:「うふふ、そうなの」

ひょっとして、先輩は俺の反応を分かった上で言ってるのだろうか?

……………………。

…………。

……。


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